もうひとつの問題として、ロシア軍のドローン操縦士はキルゾーンでの損耗拡大などが原因でますます不足しているという事情がある。精密攻撃を効果的に遂行するために、ドローン操縦士には広範な訓練を施す必要がある。基本的な任務の訓練でさえ通常は数週間を要し、FPV(一人称視点)ドローンのより高度な運用では実戦レベルに達するまでにさらに長い時間が必要になる。このため、ドローンを何機使用できるかよりも、それを操縦する人員が生存できるかどうかが重要になるというボトルネックが生じている。ロシア軍は、前方に送り込むドローン操縦士を増やすほど、補充できる以上のペースで操縦士を失うリスクが高まることになる。
GoDroneはテレグラムへの投稿で、ドローン・スウォームはより少ない操縦士で大きな効果を発揮できるため、こうした制約を回避する方策になると主張している。GoDroneは、ロシアには必要な技術の大半がすでに揃っており、あとはそれを戦場に実装することが主な課題だとの見解も示している。1人の操縦士が同時に複数のドローンを操縦し、それらのドローンが自律的に連携して行動することが可能になれば、同じ密度の攻撃をはるかに小さい操縦士フットプリントで実行できるようになる。近接して配置される操縦士が少なくなれば物理的シグネチャーも電磁的シグネチャーも低減するので、その分、探知されにくくなる。
ドローン・スウォームの活用という提案は、訓練された操縦士を生み出すペースよりもドローンを生産・配備するペースのほうが速い現状を反映したものでもある。スウォームが実現すれば、制約要因は操縦士の数からドローンの数に移り、部隊は人員へのリスクを相応に高めることなく攻撃の規模を拡大できるようになると見込まれる。
ドローン・スウォームに関するロシアの技術と能力
ドローン・スウォームに単一の定義はなく、あらかじめプログラムされたルートに沿ってドローンが群れをなして飛行することを指す場合もある。現在の文脈では、スウォームとは複数のドローンが協力して動的な任務を遂行することを意味する。操縦士は「何を攻撃するか」といった高いレベルの指示を与え、ドローン同士はデータを共有し、脅威に応じて行動を調整しながら、効果を最大化するよう連携する。


