今シリコンバレーでは、AIはじめ技術開発競争が激化し、テクノロジー万能論が唱えられている。一方で、これに日本的思想を取り入れることが大切だという見方もある。
琉球大学教授・東京大学客員教授であり、テクノロジー企業H2Lの代表を務める玉城絵美。玉城氏が提唱する「ボディシェアリング(BodySharing®)」は、単なる利便性の追求を超え、人類の進化そのものを加速させる可能性を秘めています。玉城氏に、AIとロボットなどが日常に溶け込む近未来、そしてテクノロジーと人類の進化において重要な点について、お話をうかがいました。
一つの人生で「三倍」の体験を
人はなぜお金持ちや人気者になりたいのか。その理由は、「未知の体験を求めているから」だと玉城氏は語ります。世界を旅する、新しい文化に触れる、特別な待遇を受ける——こうした体験を得ることを欲し、その体験を他者に伝えたくなる。ソーシャルメディアの隆盛も、こうした欲求の延長線上にあります。人は体験を集め、それを他者にシェアすることで価値を感じる。しかし、玉城氏はここに新しい問いを投げかけます。
「もし、自分が体験していないことも“体験したように”共有できるとしたらどうでしょうか」
その発想から生まれたのがBodySharing®(ボディシェアリング)です。
BodySharing®︎とは、ヒトの身体情報をコンピュータと相互伝達し、他の人やロボット、キャラクターと体験を共有する概念と技術、それを実現するインターフェースです。身体感覚を異なる身体と相互共有し、場所、時間、空間や意識にとらわれない生活を目指しています。
ボディシェアリングの具体的なビジョンとして玉城氏が掲げるのが、一人の人間が同時に複数の体験をしながら生きる「マルチスレッド・ライフスタイル」です。例えば、通常なら3泊必要な旅行を、移動時間などを無くし、体験のハイライトを抽出して共有すれば、旅行体験を1泊分の時間で体験できます。あるいは3種類の旅行体験を3泊で体験するのも良いかもしれません。
「もし一人の人生で3人分の体験ができるなら、人の満足度は大きく変わるでしょう。さらに文化の進化も加速する可能性があります。」
体験をテクノロジーによって拡張することで、人生そのもの、さらには人類全体の文化的進化のスピードすら変わるかもしれません。
注:遠隔観光の技術を使うことで、例えばあなたは世界中の川でカヤックを漕ぐ体験を得られます。装置が人の動きをリアルタイムに取得し伝達することで、遠隔地のカヤックのパドルの操作が可能となります。




