カルチャー

2026.04.24 10:30

Matchaをブームで終わらせないために 日本は今何ができるのか:TeaRoom岩本涼

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しかし、現状では急速に高まった世界の抹茶需要に対応した「何が良い抹茶なのか」という基準は存在しない。品質に限らず、あらゆる抹茶の値段が上がり続けている。良いものは高く、そうでないものは安く─世界中の取引の適正化は、どう実現すればよいか。私は海外での需要を反映した「良い抹茶の国際的な基準」が必要だと考えている。

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新たに参照すべきは、バリューチェーンの入り口ではなく、出口での評価だ。世界中のカフェで、抹茶ラテをつくるバリスタと飲む消費者は、どんな抹茶を欲しているのか。需要側での評価がわかれば、生産側も高値で取引される「良い抹茶」を目指した生産計画が立てられる。量ではなく質で勝負すべき日本の国益も、こうした評価が基盤となるはずだ。

産業持続のための国際的共通基盤

どうすれば、世界的な抹茶の需要を持続させられるか─ 2026年4月、私は国際団体「International Matcha Association(IMA) 」設立に参画した。理事陣には、日本から私と「有機抹茶のパイオニア」である西製茶代表の西利実氏が入るが、半数以上はグローバルなメンバー。世界最大のスペシャルティコーヒー業界団体「Specialty Coffee Association」 CEOのヤニス・アポストロプロス氏、食・農学研究の世界最高峰「UC Davis」教授、国際会議の有識者を歴任する食の社会起業家らが理事を務める。

IMAのミッションは「抹茶産業の持続・発展のために、国際的な共通基盤をつくること」。例えば、抹茶の周辺産業・他産業との協業や投資を加速できないか。もし、抹茶ラテで大量に消費されるミルク業界が抹茶の産業に大きく投資をすれば、抹茶ブームを終わらせないために共に動ける存在となるはずだ。また、カフェ業態では、今は競合関係にある抹茶とコーヒーも、共創関係に変えられないか。気候変動で栽培適地が半減する「コーヒー2050年問題」を共通課題とすれば、未来のカフェ需要を共に支える良きパートナーとなるはずだ。そうやって構想できる国際的なアクションは、確かにある。ブームを持続的なカルチャーに変えるため、日本の茶業者のひとりとして、全力で取り組みたい。

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いわもと・りょう◎TeaRoom 代表取締役CEO。2018年に同社を創業し、現職。茶道裏千家準教授、中川政七商店社外取締役、非営利型一般社団法人International Matcha Association 代表理事も務める。

構成=フォーブス ジャパン編集部

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