弱気シナリオ:関税、インフレ、そして停滞する政策
トランプ=マスクのビットコイン強気論が実現すると誰もが確信しているわけではない。ビットコインは依然として、2025年10月に記録した12万6000ドル超の史上最高値を約40%下回っており、トランプの関税政策が何カ月にもわたって10万ドル以下に押しとどめてきた。
トニー・エドワードはSpaceXのビットコインへの信念に対しては強気の見方を示す一方で、トランプ一族の広範な暗号資産ビジネスへの関与については痛烈に批判した。彼は、トランプのWorld Liberty Financial(WLF。ワールド・リバティ・ファイナンシャル)プロジェクトや関連するミームコイン(ネットの流行やジョークから生まれた暗号資産)をめぐる騒動が暗号資産業界の信頼性を損なっていると主張した。ただし、大統領の公式な政策自体は総合的にプラスであると評価している。
戦略ビットコイン準備金そのものが、言葉と実行のギャップを如実に示している。トランプは1年以上前に大統領令に署名したが、財務省は依然として積極的な購入を開始するために必要な議会の承認を得ていない。Polymarketのオッズもこの不確実性を反映しており、37.5%という数字は、トレーダーの過半数がビットコインの年内10万ドル到達はないと見ていることを意味する。
トランプの対中関税戦争──中国製品に50%の関税を課すという脅しを含む──は、リスク資産の重しとなり続けている。4月15日だけでもビットコインは約3%下落した。米国・イラン和平交渉への期待から7万5000ドルを超える水準まで上昇した後、投資家が利益確定に走ったためである。
今後の注目点
6月に予定されるSpaceXのIPOでは、マスクのビットコインポジションが公式に開示されることになる。インデックスファンド(株価指数連動型投資信託)がSpaceXを組み入れるためにリバランス(資産配分の再調整)を行えば、それだけで機関投資家のビットコインへの資金流入を促す可能性がある。議会では、キャシディ・ルミス両上院議員による「マインド・イン・アメリカ法案」が戦略準備金を法制化し、財務省による購入の承認に道を開く可能性がある。
ビットコインの直近の取引価格は約7万4800ドル。セイラーは買い続けている。ウッドは暴落の時代は終わったと言う。トランプは「ビットコイン超大国」を望んでいる。マスクは6億300万ドル(約953億円)相当のビットコインを抱えたまま上場に臨もうとしている。価格がこの信念に追いつくかどうか──それこそが「10万ドルの問い」である。


