経営・戦略

2026.04.16 14:45

大森充・花井優太 今なぜ「カルチャーイン、カルチャーアウト」なのか

stock.adobe.com

企業の新陳代謝の手法にも

大森:今、あらためてこの仮説が重要だと思っているのは、ひとつには経営ノウハウや経営テクニックが飽和してきているからです。そして、生成AIなどが台頭するなかで、「なんのためにサービスをつくるのか」「なぜそのサービスをマーケットに出さなければいけないのか」について、圧倒的当事者意識をもてるかが市場をつくるうえで重要になってきているからです。100年続く企業を見ると、コクヨ同様に同族企業が多く、経営者が後継者として圧倒的な当事者意識があることもわかります。これもカルチャーなんだと思います。

advertisement

花井:先ほど紹介した「翠」は僕が関わったコミニュケーションではないのですが、最初のCMコピーが「それはまだ、流行っていない」であったことを鮮明に記憶しています。どういうことだと(笑)。もう「流行っています」「マストバイ」ではなく、流行っていないし流行るかもしれない......To Be Continuedみたいな。

現代は最適化がわかった瞬間に、過去のものになるというスピード感。ブームに対応していくよりは、大きなスタイルを生み、市場になるというつくり方をしないといけません。一方、みんな、生成AIに聞いていますが、めちゃくちゃ早く現状把握はできているような気がしていますが、何かが起きている現場からの距離はより離れている気がします。まだ変化なのかもわからない小さな動きは察知できませんから。

大森:もちろんマーケティングの発想として、プロダクトアウト、マーケットインにつぐ理論として、カルチャーイン、カルチャーアウトはあります。それに加え、企業の持続可能性としても、企業の新陳代謝をカルチャーベースでイン、アウトしないといけないとも考えています。外部環境の不確実性が高まり、例えば、これまではESGが重要であるといわれていたにもかかわらず、トランプ2次政権下では反ESGになったり。であれば、自分たちが腹落ちすることが大事だと思うんです。社会の公器として新陳代謝していくためのものさしにもなるのではないかと。

advertisement

花井:結局「私は何者で、何を大切にしている、これは譲れない」という信念やビジョンがしっかり見えることこそ、信頼に繋がると思っています。「推し」という言葉をあえてもってきますが、ESGでは推されない。「その人が何を考えているか」「その人がどういう人か」「自分にとってどうか」がものすごく価値になって応援されるわけじゃないですか。HANAやXGのファンダムなどもまさにそうであるはずで、大胆な言い方をすると「推される会社になるには、カルチャーイン、カルチャーアウトしてください」とも言えるかもしれません。


大森充◎日本総合研究所ストラテジー&ソーシャルバリューグループ部長/上席主任研究員。京都大学大学院経営学修士課程修了後、日本総合研究所に入社。2017年-19年は米国シリコンバレーAIスタートアップの日本法人代表を兼務。プライム上場企業やスタートアップの顧問も務める。

花井優太◎クリエイティブ・ディレクター/編集者。情報戦略、コピーライティング、商品コンセプト開発、PR、TVCMやミュージックビデオの映像企画などを行う。雑誌『tattva』編集長。著書に『カルチュラル・コンピテンシー』(共著)がある。J-WAVE「TINYTHEORIES-あくまで仮説だけど-」ナビゲーター。

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事