北米

2026.04.17 16:00

カリフォルニア州知事選に挑む億万長者スタイヤー、電気代25%削減の公約は実現するか

クリーンテック投資家 トム・スタイヤー(Photo by Mario Tama/Getty Images)

クリーンテック投資家 トム・スタイヤー(Photo by Mario Tama/Getty Images)

米カリフォルニア州では2026年11月、現職のギャビン・ニューサム知事(民主党)の後任を選ぶ州知事選が行われる。同州では、6月2日の予備選で上位2人が本選に進む仕組みになっており、世論調査では2人の共和党有力候補が先行し、それを民主党候補3人が追う展開となっている。

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そんな中、クリーンテック投資家で民主党のカリフォルニア州知事候補でもあるトム・スタイヤーは、電力会社に競争を持ち込めば電気料金を25%引き下げられると主張している。だが、電力を売る主体が変わっても、請求額を押し上げている最大の要因は消えない。

電気代25%引き下げを公約に掲げるスタイヤー、法的独占への競争導入を訴える

スタイヤーは、カリフォルニアの電気料金を引き下げようとしている。その手法は、反主流派の知事候補がよく掲げる「電力会社の独占を打ち破り、競争を導入し、あとはテクノロジーに任せる」という構想と同じだ。生活コストの高騰で、山火事の季節にエアコンを使う電気代までが重い負担になっていると感じる州の住民にとって、この訴えは響きやすい。

スタイヤーの公約は魅力的に映る。彼は、自らが当選すれば、有権者の電気代を少なくとも25%引き下げ、州のルールを見直して小売電力の競争を認めるとともに、不動産所有者が自ら発電し、その電力を一般向けに販売できるようにすると訴えている。

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だが問題は、カリフォルニアの電気料金が高い主な理由が、競争が制限されていることではない点にある。料金が高いのは、山火事対策やその賠償費用、配電網の大規模な更新投資、そして電力会社の料金を通じて賄われている州の義務的な各種プログラムなど、さまざまな追加負担が積み重なっているためだ。

スタイヤーは、フォーブスに対し、「他州には法的な独占はない。カリフォルニアには法的独占があるため、競争できない」と語った。彼は、「地域ごとの競争を導入し、住民や事業者が自ら発電し、マイクログリッドを運営できるようにする必要がある」と述べた。

送電網の稼働効率を35%から60%へ高められると主張

スタイヤーはまた、より優れたツールを使えば、既存の送電線からもっと多くの電力を引き出せるとも考えている。大規模な送配電網の更新に巨額投資をするよりも、そちらのほうが速く、しかも安く済む可能性があるという見方だ。

彼は、「現状の送電網の稼働効率は35%程度にとどまっているが、その背景には、年間で最も電力需要が高まるわずか1時間に備え、電圧低下や大規模停電を防ぐためのルールが数多く設けられていることがある」と語る。そうした運用の非効率は、リアルタイムの情報技術やAIを導入することで改善でき、稼働効率を60%まで高められるというのがスタイヤーの主張だ。「そうなれば、無料ではないにせよ、送電網の増強工事よりはるかに低いコストで、大きな供給余力を生み出せることになる」と彼は述べている。

米エネルギー情報局(EIA)によると、カリフォルニア州の住民が支払う電気料金は平均で1キロワット時当たり30.3セントに達し、全米平均の17.45セントを大きく上回っている。州内の広い地域でより多くの競争を認めているテキサス州では、この水準は15.7セントにとどまる。カリフォルニアより高いのは、1キロワット時当たり39.79セントのハワイ州のみだ。

選挙戦に私財を投じているスタイヤーは、民主党の有力候補3人による接戦の一角にいる。ただ、民主党の有力候補3人はいずれも、民主党が圧倒的に強いカリフォルニア州でありながら、支持率では2人の共和党候補に後れを取っている。フォーブスは、スタイヤーの資産を24億ドル(約3816億円。1ドル=159円換算)と推計しているが、本人はこの数字の確認を避けた。

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翻訳=上田裕資

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