省エネが進むほど1キロワット時当たりの価格が上がり、二重の打撃の連鎖が発生
テキサス大学のマイケル・ウェバー教授は、カリフォルニア州の電気料金が高いのは、ある意味では制度設計の結果でもあると指摘する。
「カリフォルニア州は、数十年にわたり、各種基準や建築規制を通じて積極的に省エネを進めてきた。そして、その取り組みは実際に成果を上げている。例えば、カリフォルニア州では、1人当たりでも1世帯当たりでも、電力使用量はテキサス州よりかなり少ない」とウェバー教授は述べている。
だが、そのことが料金負担者にとっては「二重の打撃」になっているという。ウェバーは、「電力システム全体のコストを、より少ない電力量で分担することになるため、1キロワット時当たりの価格は高くなる」と説明する。「省エネが進めば電力消費は減る。すると料金は上がり、その値上がりで電力消費は抑えられる。すると料金はまた上がる。そうした連鎖が起きる構造になっている」と語った。
電気料金が全米で大きな政治争点に──候補者は明確な政策を迫られる
スタイヤーの経歴は、彼の主張に一定の説得力を与えている。州知事選への出馬前、彼はクリーンエネルギー企業への投資を支援するベンチャー企業Galvanizeで共同会長を務めていた。同社では、パリ気候協定の立役者の1人である元米国務長官で元上院議員のジョン・ケリーも共同会長を務めている。
スタイヤーは、「エネルギーや電力、蓄電の分野では驚くような技術革新が相次いでいる。ものすごい勢いだ」と語った。こうした動きは、世界各地で独立系の発電の急増にもつながっているが、カリフォルニア州ではそれがあまり進んでいないという。
彼は、「再生可能エネルギーのコストは急低下している。蓄電池のコストも急低下している。世界では各地で電気料金が下がっているのに、我々だけがその流れに乗れていない」と述べた。そのうえで、「20世紀初頭に生まれた法的独占が今も残っているせいで、電力を独自に生み出して外に売るような仕組みは違法とされている。そして、こうした技術はすべて我々自身が生み出してきたものだ。私が話しているものはどれも、もともとはカリフォルニア発の技術だ」とスタイヤーは語った。
ニュージャージー州とバージニア州の知事選でも、電気料金が選挙戦の主要テーマ
もっとも、スタイヤーの提案がカリフォルニア州の電気料金の引き下げにどこまでつながるかは別問題だと、エネルギー研究者のウェバーは指摘する。とはいえ、電気料金が全米で大きな政治争点になってきているのは確かだ。例えば2025年11月にニュージャージー州知事選とバージニア州知事選でも、勝利した候補者は、高い電気料金を選挙戦の主要テーマに据えていた。
「以前はこんなことを議論する必要はなかった。ほかに心配すべき問題があったからだ。だが今は、人々が電気料金を気にしている。そこが私には非常に興味深い。現在候補者は、この問題について政策を示し、明確な公約を掲げなければならなくなっている」とウェバーは語った。


