欧州

2026.04.16 09:30

総選挙で敗北したハンガリーのオルバン首相、今後はどう出るのか?

ハンガリーのオルバン・ビクトル首相。2026年4月10日撮影(Sean Gallup/Getty Images)

ハンガリーのオルバン・ビクトル首相。2026年4月10日撮影(Sean Gallup/Getty Images)

12日に実施されたハンガリー議会選挙でのオルバン・ビクトル首相の敗北は、広大な地政学的展望を切り開く。とりわけウクライナ国民は、欧州連合(EU)による同国への財政支援に対するオルバン首相の拒否権が失われることを意味するため、大いに歓迎している。その支援が確実に届けば、ウクライナのロシアに対する抵抗が強まるとともに、欧州の地政学的な影響力が増し、世界の勢力図は塗り替えられることになるだろう。オルバン首相の敗北は事実上、世界中の権威主義的ポピュリズムの終焉の始まりだ。そう主張する声もある。

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だが、それはポピュリスト政策のどの側面を指しているかによって大きく異なる(そして当然、オルバン首相が次に何をするかにもよる)。ハンガリーの新指導者となる野党党首のマジャル・ペーテルはリベラル派ではない。同党首は、EUがオルバン政権に対して保留していた210億ドル(約3兆円)の資金を自国が受け取れるよう、統治、報道の自由、司法の独立などに関する欧州の規制や基準を順守し始めるものとみられる。これは、既に経済が低迷しているハンガリーの国内総生産(GDP)の約10%に相当する。したがって、マジャル党首はポピュリズムと権威主義の腐敗という側面を断ち切る方向へ動き出すことになるだろう。ここで、誤解のないように言っておくが、マジャル党首もある種のナショナリストだ。同党首は汚職に耐えられなくなるまで、長年にわたりオルバン首相の政党に所属していたのだ。

実際、マジャル党首は移民や難民を大量に受け入れるために国境を開放しようとはしていない。これは、ポピュリズムの最大の切り札である国家アイデンティティーの保護を自ら取り入れることで、ポピュリズムのやり方に対する同党首の最も興味深い挑戦となるかもしれない。EUや英国への移民の流入は、欧州の支配層を国内で不安定化させるため、ロシアとその同盟国によって意図的に助長され、政治的武器として利用されたことを思い出してみよう。欧州諸国の親ロシア派ポピュリスト政党が、マジャル党首の政策の統合を賢明にも模倣するならば、同党首の提唱する方程式は、そうした政党の牙を抜く道筋を示すことになるだろう。

次に問題となるのは、オルバン首相が今後どう動くかということだ。同首相はロシアの首都モスクワへ逃亡するかもしれない。その前例は数多くある。例えば、2014年にウクライナの親ロシア政権が倒れた「マイダン革命」で失脚した同国のヤヌコビッチ元大統領がその一例だ。しかし、同革命で市民を虐殺した容疑がかけられ、国外に脱出したヤヌコビッチ元大統領とは異なり、オルバン首相は誰かを殺害したわけではなく、選挙後に公式に敗北を認めた。

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翻訳・編集=安藤清香

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