オルバン首相を支持していたメディア王やオリガルヒを排除する試みがあれば、圧倒的な量の偽情報や、国家による弾圧、マジャル党首の縁故主義、あるいはEUによるハンガリーの自治権への脅威といった主張が飛び交うことが予想される。選挙前と同様、不吉で執拗(しつよう)な逆境がマジャル党首を襲うことになるだろう。
このような偽情報活動がオルバン首相の長きにわたる悪政の記憶を消し去ることはできないと思うなら、旧ソ連諸国が歓喜のうちにソ連の支配から解放されてから数十年後、どれほど頻繁にロシアの方針を再び受け入れるよう説得されてきたかを考えてみてほしい。
ジョージアでは、サアカシビリ政権が掲げた自由企業や報道の自由、民主主義という理念が、まさにこうした闇工作によって塗りつぶされた。これは、ロシアの支援を受けて、同国に有利な形で倒れた最初のドミノだった。西側諸国がポスト自由主義のネットワークを認識し、それに立ち向かうまでにこれほどの時間がかかった。ウクライナでのロシアの非道な行為は、この点で欧州に警鐘を鳴らすこととなった。
ロシアからの支援をはじめ、手元に強力な脅し材料を抱えているオルバン首相は、自身とその側近が司法の追及を免れる見返りに、マジャル党首への圧力を緩和するという取引を提案することは間違いない。これにも先例がある。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が前任者のボリス・エリツィン元大統領と、まさにこのような形で取り決めを結んだことを思い出してみよう。ウクライナのオリガルヒも国会議員を味方につけておくことで、同様の免責特権を享受していた。しかし、マジャル党首にはこうした先例に倣う余地すらない。同党首は法の支配を回復すると公約しており、それがある意味では自身の逆境を増大させ、短期的には自身の手足を縛っているからだ。
オルバン首相の支持者らは、同首相がとどまり、自分たちの身を守るために戦い続けてくれることを望んでいる。だが、マジャル党首は任期制限を2期に短縮すると約束しており、これにより事実上、次期選挙でのオルバン首相の立候補が阻まれることになった。同首相は恐らく舞台裏に退き、ジョージアのビジナ・イワニシビリ元首相がそうしてきたように、表看板となる人物を通じて自身の政党を率いることになるだろう。
いずれにせよ、今後数年間は交渉による進展を目指す厳しい道のりが待ち受けている。ハンガリー単独では、特に親ロシア政権がオルバン首相と結託した場合、同首相の組織的な妨害手段を打ち破ることはできず、EUによる継続的な支援が不可欠となるだろう。過去には、そうした支援があまりにも頻繁に欠けていたからだ。


