Kometaシリーズの誘導システムは、シャヘドやキンジャールを含むロシアのほかの兵器にも搭載されている。それらはどれも十分な量のジャミングに対して脆弱だ。しかし、ロシア側はアンテナ素子の数を12、さらには16へと増やしていった。それ以上に重要なのは、アンテナアレイの動作方式自体を改良したことだ。
「ロシアは根本的に新しい系列のCRPAを開発しました」とLima-Quant開発元の広報担当者は説明する。「わたしたちはその出現を第二次世界大戦中の『エニグマ』(ドイツの暗号機)の開発になぞらえています。これらのCRPAは、自機のアンテナ素子数を大幅に上回る規模のジャミングに対しても耐性を持っています」
ロシアが開発した新しい8素子システムに対抗するには、19基のジャマーが必要だった。16素子バージョンにいたっては、104基のジャマーを用いても対抗できなかった。ジャミングが有効だった場合も、その範囲は狭く「数十メートルから数百メートル」だったという。
新しいCRPA技術のおかげで、ロシアのKABは再び有効になった。それを再び無効にしたらしいのがLima-Quantだ。このシステムの詳細は依然として秘密のベールに包まれているが、主張されている効果は劇的である。
妨害を乗り越える
「KABは命中しなかったか、そもそも投下すらできませんでした。誘導システムに航法エラーが生じたためです」と広報担当者は述べている。「ロシア軍のパイロットは何が起こっているのか理解できなかったでしょう。これらのCRPAでは戦闘線の100kmも手前でナビゲーションが失われたからです。シャヘドも同様の事態に陥りました。Limaで防護された対象は攻撃不可能だったのです」
ただ、ジャミングは敵味方を区別しない。つまり、このシステムはウクライナ側の衛星航法にも影響を与える。
「戦闘作戦を実施する旅団指揮官たちは、味方のMavic(マビック)ドローンや爆撃ドローンが任務を遂行できないと主張し、EW装置の運用を禁止し出しました」と広報担当者は明かす。「こうした禁止措置こそ、目下、わたしたちにとって最大の問題です」
広報担当者によれば、この問題はウクライナ側のドローンを改修することで解決可能だが、現場指揮官たちはそのために時間や費用、労力を投じたがらないという。その代わりに、彼らは間隔を置いてジャミングの防護を弱め、危険を冒すほうを選んでいる。さらに、「味方」側からまた別の問題にも直面した。


