展開式の翼を取り付けることで爆弾の射程は伸びている。一部の高度なKABは射程が200kmに達するとも言われるが、大半は65km程度だ。これは1600kmを超える射程(航続距離)を誇るシャヘド型ドローン(無人機)に比べると格段に短いが、シャヘドの弾頭が45〜90kg程度なのに対し、KABの弾頭は250kg、500kg、さらには1500kgにおよぶ(編集注:3000kg級の使用も報告されている)。弾頭重量1500kgのKABは一区画を破壊できるほど強力で、着弾地点には直径15mほどのクレーターができる。KABは超重量級の砲弾のように使われ、ウクライナ側の掩蔽壕や戦闘陣地の破壊、民間インフラへの攻撃に投入されている。
これらの滑空爆弾は時速数百kmで飛行し、撃墜するのはきわめて難しい。とはいえ弱点がないわけではなく、先に触れたように2024年には多くがジャミングを受けてナビゲーション(航法)が機能せず、目標から外れるようになった。
「KABの有効性は誘導システムに直接左右されます」と前出の広報担当者は解説する。「以前はCRPA(制御受信パターンアンテナ)としてKometa(コメタ)-4 が使われていましたが、その後、ウクライナ側が電子戦システムを拡充するとKometa-8に変更されました」
アダプティブアンテナやヌルステアリングアンテナ、ビームフォーミングアンテナとも呼ばれるCRPA(発音は「サーパー」)は、複数のアンテナ素子を用いて、それぞれが受信する信号を賢く組み合わせる仕組みになっている。組み合わせのひとつは足し算方式で、2つの信号を重ね合わせて増幅を強める。もうひとつは引き算方式で、信号を合成する際に位相をずらすことで、その信号を出力から選択的に取り除き、実質的に打ち消す。これはノイズキャンセリングヘッドフォンが外音を選択的に遮断する仕組みに似ている。
この技術では、1つの「ヌル(打ち消し)」をつくるのに追加のアンテナ素子が1つ必要になる。Kometa-4は4素子なので、3つのヌルを生成でき、したがって3基のジャマーを無効にすることが可能だった。同様に、8素子のKometa-8では最大7基のジャマーに対抗できた。


