帰属意識は関与を引き出す
帰属意識はまた私たちを関与させる点でも重要だ。他者に対する義務感や責任感はコミュニティにとって健全なものだ。誰かに頼られたいと思っており、自分の貢献が認められ、評価されることを望んでいる。
この目的を達成するのに、優れたオフィス空間は私たちの仕事に依存している人とのつながりを築き、「視線」を交わす(文字通りにも比喩的にも)のに役立つ。このようにして優れたオフィス空間は、私たちがその一員でありたいと願うような体験を生み出す。「目的は稼働率ではなく、活気や参加率、出社回帰の動きによって測られるエンゲージメントだ」とフォックスは語る。
テクノロジー、特に人工知能(AI)が至る所に浸透している世界においては、エンゲージメントは人間ならではのものでなければならない。人間のエンゲージメントの価値は変化し、拡大している。フォックスは「AIによって技術的な実行がコモディティ化されるにつれて、人間の価値の源泉は生産から判断や統合、そして知恵へと移行する」と指摘する。
私たちは多くのツールを持っているが、人間の専門性や潜在能力を引き出すことができなければならない。「組織が直面する主な制約はツールや情報の不足ではなく、既存の人間の能力を引き出し、つなぐことができていない点にある」とフォックスは言う。
ペトルスキーも人間の関与の重要性を強調する。「AIは非常に速く情報を提供できるが、依然として私たちが良い意思決定を行い、それを伝える必要がある。人間が取って代わられない点はそこにある」と話す。
帰属意識は肯定感を生む
興味深いことに、単に他の人と一緒にいるだけでは帰属意識は生まれない。本当の意味での帰属意識は共有された社会的アイデンティティから生まれる。私たちは家族や友人との関係、あるいはボランティア活動などにおける役割に強いアイデンティティを感じる。
そして仕事もまた、アイデンティティを感じさせる重要なものだ。私たちは自分の役割を通じて自己を理解し、貢献内容によって自分が何者かを感じ取る。
建設的な文化では人はありのままの自分でいられる。「人は帰属意識を求めている」とペトルスキーは言う。「人はありのままの自分でいることを望んでいる」
さらに文化は相互性ももたらす。強固な文化があれば相手の中に自分を見出し、相手は自分の中に己を見出す。あるいはペトルスキーが言うように、「自分が自分であることは良いことであり、あなたがあなたであることもまた良いこと」なのだ。
強固な文化は各人の貢献を評価し、それぞれが仕事でやりたいこととやらなければならないことを(可能な限り)一致させる。自分が大切にされている、自分のスキルが十分に活かされていると感じると自尊心とモチベーションが高まる。
意図的な帰属意識の創造
だが優れた職場体験は偶然に生まれるものではない。フォックスは意図的なアプローチを取ることの重要性を指摘する。「管理するにあたって、毎日を単なる背景ではなく、計画された体験として扱うことだ」と言う。
重要なのはお金や給与だけではない。人はそれ以上のものを求めており、その主な要素の1つが帰属意識だ。やりがいを感じ、活力を与えてくれる仕事の中で帰属意識を育むことは可能だ。そのためには人とのつながりを築き、コミュニティを活性化させ、帰属意識を育むことに注力することが重要な第一歩となる。


