テクノロジー

2026.04.16 14:15

「AIとの未来」は日本文明から 杉山前学長が提唱する「テクノロジーと人の融合ビジョン」

シリコンバレーの一部では、AIの進化は寿命を大幅に伸ばす素晴らしいものだといった万能論やそれこそが未来だと信じられています。しかし、テクノロジーによって幸せな未来を目指すには日本的思想を取り入れることが重要ではないか?

advertisement

こうした問題意識を、デジタルハリウッド大学大学院 杉山知之前学長にぶつけてみました。杉山氏は、筋肉の力がなくなっていく難病ALS(一方、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などは保たれる)のため、動くことができず、視線入力でご回答いただきました。

例えば、杉山学長は、2026年1月27日のTechGALA身体拡張セッションに、遠隔操作ロボットOriHimeを通して参加し、次のようなコメントを届けられました。

「今、新しい生命感が問われるのは、21世紀になってからの急速なテクノロジーの発展が、人類社会の常識を大きく超えているからです」

advertisement

「僕のように体にいくつものチューブをつなげ、生きながらえている姿はグロテスクと感じられるかもしれませんが、医療で認められている普通のテクノロジーを使えば、僕のような重度障害者でも仕事をして納税者として暮らせる事実があります」

「テクノロジーと共に生きることを選ぶと、簡単に手に入るテクノロジーと日本の手厚い福祉制度のおかげで、それほど不自由なく暮らせています。まだ人類の一員として存在している幸せを感じます」

「未来は常に常識を超えた先に存在します。デジタルデータと生命との融合はすでに始まっており、近未来において我々はそれを身体拡張とも感じなくなるのです」

ご自身が身体拡張テクノロジーとともに生きている杉山氏の言葉は、ずしんと心に響きます。

テクノロジーは一神教的世界観に収束しない

杉山氏は、冒頭の問題意識について、単刀直入に回答を寄せてくれました。

「最初に、今後産まれるあらゆるテクノロジーにAIが関わるという前提がある。その上で現在のところの予測では、以下のように進む。

(1)生成AI (現在)

(2)AGI(Artificial General Intelligence) 人工汎用知能

(3)ASI(Artificial Superintelligence) 人工超知能

(3)-1 Recursive Self-Improving AI
AIが 自分自身の設計を改良するループへ
結果として、Intelligence Explosion が起きる

(3)-2 Collective Intelligence(集合知AI)
AIが個体ではなく ネットワーク化された知性 になる段階。
地球規模AIネットワーク、人間+AIのハイブリッド知能

(3)-3 Post-Human Intelligence
人間文明を超える体系となる。
ここで本当の意味のTechnological Singularityとなる

以上のようなAIテクノロジーの発展は、当然ながら、大きな流れはあるものの様々な支流を生み出す。なぜならテクノロジーは収束しないものだからだ。従って欧米人の一神教的世界観またはキリスト教の延長にAIを押し込めることはできないと予測できる。

人類が生き残って行くとするなら、AIとの折り合いをつけて行くだろうと考えられる。そのとき、注目に値するのは日本文化であろう。

アメリカの政治学者 サミュエル・P・ハンチントンが提唱した 『文明の衝突(Clash of Civilizations)』 (1993)では、世界を7つの文明に分類している。その中で、日本は独立した文明とされている」

(筆者注:2世紀から5世紀において中華文明から独立して成立した文明圏であり、他の文明は複数国にまたがるが、これは日本一国のみで成立する孤立文明)

次ページ > AIと日本文明がフィットする3つの理由

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事