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2026.04.22 15:00

アンソロピックなどへの出資元の米VC、アブダビ政府による持ち分保有が訴訟を機に発覚

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かつてない逆風を背景に、インサイトは持ち分を売却

インサイトにとって、2025年に資金力のある中東ファンドへ持ち分を売却したことは、かつてない逆風をしのぐ一手になった可能性がある。同社は、2022年から200億ドル(約3.2兆円)規模の新ファンド立ち上げに向けて資金集めを進めていたが、実際にクローズできたのは2年以上後で、規模もより小さな120億ドル(約1.9兆円)だった。英紙フィナンシャル・タイムズによれば、インサイトは2023年に投資家へ送った書簡で、その理由が「テック業界の大調整」にあると説明していた。

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インサイトは、パンデミック期のテックブームで最も積極的に投資した企業の1つだった。データセキュリティ企業Veeamの50億ドル(約7950億円)の買収案件を主導したほか、決済企業Checkoutにも出資した。Checkoutへの出資時の評価額は400億ドル(約6.4兆円)だったが、同社は2025年、従業員向けの自社株の評価額を120億ドル(約1.9兆円)にまで引き下げていた。

投資会社が自社の持ち分を売却するのは珍しいことではない。公開された数少ない事例では、2023年にジョシュ・クシュナー率いるThrive Capitalが少数持ち分を、元ディズニーCEOのボブ・アイガーとPE業界の大物ヘンリー・クラビスを含む4人のビリオネアに1億7500万ドル(約278億円)で売却した。2020年には、UAE政府系ファンドのムバダラがバイアウトファンド大手シルバーレイクの少数持ち分を取得した。一方、VCのゼネラル・カタリストは2025年1月、かつてゴールドマン・サックス傘下部門に売却していた自社事業の一部を7億2600万ドル(約1154億円)で買い戻していた。

こうした取引は慎重な扱いを要する。持ち分の取得は、手数料収入や投資利益の分配を受ける権利が伴うだけでなく、投資会社の内部事情をより深く知る機会や、経営陣との関係強化にもつながるためだ。SECへの提出書類では、ムバダラによるシルバーレイクへの出資は受動的投資とされていたが、両社はこの取引と同時に25年にわたる共同投資戦略を発表した。

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歴史あるVCのNEAなど、他の老舗VCも中東系ファンドが持ち分を取得

シリコンバレーで最も歴史あるVCの1つであるNEAも、2020年にクウェート系企業へ自社持ち分を売却し、引退を控えた一部パートナーの持ち分の現金化を進めた。その持ち分の一部は後にサウジアラビア政府系ファンドが取得したとみられるが、時期や条件は明らかになっていない。サウジの政府系ファンドPIFのテック部門Sanabilは、その後NEAのリミテッド・パートナーでもあることを明らかにしていた。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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