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2026.04.22 15:00

アンソロピックなどへの出資元の米VC、アブダビ政府による持ち分保有が訴訟を機に発覚

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米国でのある訴訟をきっかけに、OpenAIやAnthropicへの出資で知られるベンチャーキャピタル(VC)大手「インサイト・パートナーズ」の、これまで知られてこなかった出資構造が明らかになった。同社は現在、アブダビ政府の一部所有下に入っている。

アブダビ政府がインサイトに出資していたことが、新たな訴訟で明るみに

XやWiz、Databricks、Anthropicへの投資で知られるインサイト・パートナーズは、世界最大級のスタートアップ投資会社の1つとなっている。運用資産が900億ドル(約14.3兆円。1ドル=159円換算)を超える同社の規模は、アンドリーセン・ホロウィッツやセコイア・キャピタルと並ぶ水準にある。だが今回、同社がアブダビの非上場投資会社Lunate(ルネイト)からの出資を通じて、アブダビ政府の一部所有下にあることが、新たな訴訟と米証券取引委員会(SEC)への提出書類によって明るみに出た。

秘密主義の強いVC業界では、ファンドの出資者であるリミテッド・パートナーを公表しないのが一般的だ。近年では、多くのVCが中東の政府系ファンドに資金面で依存する傾向を強めているが、インサイトとアブダビの関係は、そうした一般的な資金提供の域を一歩踏み越えている。

2025年1月から続く出資は、1%台から2%未満の少数出資にとどまる

提出書類によれば、アブダビ政府はインサイトへの資金提供にとどまらず、2025年1月から同社の持ち分も保有してきた。書類では、この投資は支配権を伴わない少数出資と位置づけられている。取引に近いある関係者は、その持ち分を1%台と説明し、別の関係者は2%未満だと述べた。フォーブスは、Lunateがこの持ち分の取得にいくら支払ったのかを確認できなかった。

中東政府による持ち分取得は、米投資業界に広がりつつある

ニューヨークに拠点を置くインサイトは、プライベートエクイティ大手のシルバーレイクやカーライル・グループと並んで、中東政府が管理するファンドに自社の持ち分を売却した数少ない投資会社の1つとなった。こうした出資は、規制当局向けの書類ではほぼ例外なく、「受動的」あるいは「経営に関与しない」と説明される。中東政府側がより積極的な役割を担えば、外国投資をめぐる米政府の規制に抵触するおそれがあるためだ。

ただ、実際には一流の投資会社の持ち分取得は、より大きな戦略的提携への足がかりになることが多い。見返りとして考えられるのは、有望案件への優先的なアクセスだ。シルバーレイクやカーライルのケースでは、その先に巨額の共同投資へ発展した例もある。

アラブ首長国連邦(UAE)に拠点を置くファンドと連携し、持ち分の取得を積極的に進めてきたBlue Owlの共同社長マイケル・リースは、「投資家は、経営権を握れなくても、世界有数のディールメーカーや企業育成の担い手と緊密な関係を築ける。それだけで十分に魅力がある」とPitchBookのイベントで語った。

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翻訳=上田裕資

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