経営・戦略

2026.04.19 09:15

賃上げで転職を考える人が急増する理由 限界意識を生む納得度の壁

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賃上げはうれしい。しかし、賃上げ後の意識変化は複雑だ。人事プロフェッショナルブティックCORNER(コーナー)の調査では、逆に「もうこれ以上上がらない」という意識を抱く人もいた。どうすれば、従業員が賃上げを素直に受け止め、働く意欲を高めてくれるのだろうか。

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CORNERは、国内で働く20〜60代の男女1236人を対象に、ベースアップに関する意識調査を実施した。それによると、賃上げ後の意識変化として、「会社への期待が高まった」(4.7パーセント)、「仕事への意欲が上がった」(16パーセント)と前向きな変化が見られた一方、「この会社ではこれ以上上がらないと感じた」(19.1パーセント)というネガティブな「限界意識」も多かった。さらに、「転職を考えるようになった」(5.7パーセント)人もいた。

もっとも多い「とくに変化はない」(54.4パーセント)を除いて最多だったのが「これ以上上がらない」であることには考えさせられる。せっかく賃上げをしても、これでは経営者はがっくりだ。

「期待が高まった」、「意欲が上がった」、「変化はない」、「これ以上上がらないと感じた」、「転職を考えた」という5つの意識変化には、ある要素との相関があった。それは「納得度」。「非常に納得している」人は、「期待が高まった」、「意欲が上がった」の割合が半数を超え、非常に多い。

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逆に、「あまり納得していない」人は、「これ以上上がらないと感じた」、「転職を考えるようになった」の割合が半数近くにのぼる。「まったく納得していない」人の場合は74パーセントに跳ね上がる。

どうしたら納得してもらえるのだろうか。調査では、賃上げに関して説明があった場合と、なかった場合を比較しているが、同じ賃上げ率でも説明の有無によって納得度が変わることがわかった。たとえば、賃上げ率が1パーセント未満でも、説明があった場合は納得度が約40.3パーセント、説明なしでは17.5パーセントと大きく差がついた。賃上げ率3〜5パーセントの場合は、説明ありが74.5パーセント、説明なしが39パーセントだった。

ここに、賃上げについて説明を行うことで納得度が上がり、会社への期待が高まり、仕事への意欲が上がるという構図が見えてくる。CORNER代表取締役CHRO(最高人事責任者)の門馬貴裕氏は、賃上げの検討においては「金額の設計だけでなく、報酬の意味付けと期待設計までを丁寧に行うこと」が重要になると話している。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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