(3)「現実世界に生きていない」サム・アルトマン
テック系メディアは、サム・アルトマンへのインタビューを大きく取り上げている。その中でOpenAIのトップであるアルトマンは、強力な先端技術の取り組みを率いる立場にある自分がなぜ信頼されるべきなのかを、人々に説明することを拒んだ。一方で、最近の別の暴露記事では、2023年に取締役会がアルトマンを解任した背景や、その後の素早い復帰の裏側がさらに詳しく語られている。総じて言えば、アルトマンは何らかの意味で誠実に行動していないのではないか、あるいはある意味で現実から遊離しているのではないか、という不穏な見方が示されているのだ。
この点は、ここで触れておく価値があると考えた。
(4)Claude Mythosに揺れる銀行業界
さて、先ほどClaude Mythosについて言及したが、現時点でこれは、AIの世界でもっとも背筋が寒くなる厄介な存在の1つとして上位に挙げるべきだと私は考えている。
銀行関係者は各国政府の指導者と会合を持ち、世界規模の大規模ハッカソンを食い止めようとしている。そのハッカソンでは、ブラックハット(悪意あるハッカー)がMythosを使って、私たちの資金を預けている銀行システムを含め、ほぼあらゆるネットワークの脆弱性や欠陥を突き止めようとしているのだ。
こうした事態は、銀行のような外部機関への信頼に頼らず、仕組みそのものに信頼が組み込まれたビットコインのようなシステムを、かえって有利にすることになるのだろうか。そして、その過渡期には何が起きるのか。Anthropicの新モデルが持つ、ゴーレム(ユダヤ伝承に登場する泥人形の人造物で、ひとたび動き出すと創造主の手に負えなくなる存在)のような力に、AI業界の事情に通じた多くの識者が不安を抱いている。
その中には、モデルの開発に携わる人々も含まれている。
「政府はこうしたことを把握しておかなければならない、というのが我々の立場です」と、Anthropicの共同創業者ジャック・クラークは、同社が米国時間4月13日に米政府関係者にブリーフィングを行っていることを認めたうえで、ロイターに語った。「ですから当然、我々は政府とMythosについて話していますし、次のモデルについても話していくつもりです」。
これらすべてが示しているのは、根本的な1つの懸念である。つまり、AIがあまりに急速に、あまりに高性能になりすぎているのではないかということだ。
(5)あなたの仕事
もう十分かもしれないが、AIをめぐるもう1つの大きな恐怖は、人間の仕事が安泰ではないということである。AIがイエスになりすましたり、あらゆるコードの問題を見つけ出したり、マーク・ザッカーバーグをクローン化できたりするのなら、市場はどうやって人間の役割や人間ならではの価値を引き続き支えていけるのだろうか。
いたずらに悲観論をあおるつもりはない。ただ現時点では、こうした技術を正しく活用する方法について、私たちの理解には深刻な欠落があると指摘する声が出ているのだ。引き続き注視したい。


