経済・社会

2026.04.15 13:15

原油高騰で注目! 日本の電動モビリティ会社が起こす「リバースイノベーション」

では、なぜバングラディシュでこんなにも早くEV化が進んでいるのか。

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他の多くの国と決定的に違うのは、EV化が政府主導ではない点だ。欧州も中国も政府による補助金や排出ガス規制でEV化を推進してきた。一方、バングラディシュは、庶民が「便利さ」と「手軽さ」によるボトムアップ型で普及が爆発的に広がった。政府が推進しているわけではない。
「日本でEVは、ガソリン車よりも高付加価値でなければならないと思いがちです。でも、乗り物を電動にすることで何が便利になるかと追求していけば、バングラディシュの人々にとっては手軽さであり使いやすさなんです。だから、生活を支える足になれたのです」(鳴海代表)

便利さを追求しただけという当たり前の話が腑に落ちて、昔知ったものの、日本では使う機会のないビジネス用語を思い出した。

「それって、リバースイノベーションみたいですね」

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そう尋ねると、鳴海代表は「確かに、そうかもしれません」という。リバースイノベーションという言葉が登場したのは2009年で、米GEの当時のCEOが提唱した。正確にいうと、発展途上国で使いやすくするために開発された製品やサービスが便利さがゆえに、先進国に逆流入して広まるイノベーションだ。安価な医療機器などの製品や、アフリカのMペサのようなモバイル決済サービスが有名である。

日本では電動バイクも、まさにリバースイノベーション的な発想で製品にすることで、発展途上国から先進国に広がるのではないだろうか。逆にEVの普及が遅い理由は、充電インフラの不足だけでなく、「電動に何を求めるか」という商品思想が明確ではないからかもしれない。「残念なのは」と鳴海代表が続ける。

「バングラディシュは世界8位の人口で1億7700万人を超え、年齢の中央値は26歳。しかも、世界一と言えるほどの親日国です。ここで仕事をするだけで非常に喜ばれる。それなのに、『そんな法制度が未整備の国に進出したらリスクだらけで、コンプライアンスを指摘されて会社の上場なんてできなくなりますよ』と日本では忠告されてしまいます。でも、ベンチャー企業こそ、発展途上国に進出すべきです。なぜならルールメイカーになれるチャンスだからです」

法整備が完全ではないのであれば、挑戦者がつくればいい。リスクを言い続けている間に、ルールづくりを狙って、中国企業が続々進出してるのも事実だ。人口が減る国でじっと事態の好転を待ち続けるのか。それとも海外で市場を開拓し、ルールを最初につくって主導権を握るか。

ホルムズ海峡危機の裏側で、もう一つの未来のインフラを巡る主導権争いは始まっているのだ。

左から:ムハンマド・ユヌス氏(バングラデシュ暫定政権 主席顧問)、ムハンマド・ダウド・アリ氏(駐日バングラデシュ大使)、鳴海禎造氏(glafit 代表取締役CEO)、又賀晶 氏(武蔵精密工業 Open Innovation Director)
左から:ムハンマド・ユヌス氏(バングラデシュ暫定政権 主席顧問)、ムハンマド・ダウド・アリ氏(駐日バングラデシュ大使)、鳴海禎造氏(glafit 代表取締役CEO)、又賀晶 氏(武蔵精密工業 Open Innovation Director)

文=藤吉雅春

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