起業家

2026.04.17 11:00

2億人の子宮内膜症患者を救うため、あえて「ウィメンズヘルス」の看板を外した女性起業家の葛藤

Daria - stock.adobe.com

Daria - stock.adobe.com

ハダス・ジソは、会議室の空気が冷めつつあることを感じていた。投資家へのピッチで、彼女が「子宮内膜症」という言葉を口にするたび、相手の目から関心が薄れ、終了を待つカウントダウンのような空気を感じたという。

advertisement

「投資家に子宮内膜症について話すと、5分も経たないうちに相手の興味が離れてしまうのが常だった」と彼女は当時を振り返る。そこで、彼女はプレゼンテーションの冒頭でその言葉を使うのをやめた。

製品そのものを変えたわけではない。イスラエルのメドテック・スタートアップであるエンドキュア(EndoCure)でジソが開発したロボット超音波プラットフォーム「レヴィラン(Revealan)」は、現在も同じ病変を対象とし、同じ患者たちを救うためのサービスを提供している。だが彼女は、ピッチの切り口を腫瘍学やがんモニタリング、あるいは一般的な画像診断といった、投資家がその価値を即座に理解できる領域へと変更した。この戦略は功を奏したが、同時にある現実を浮き彫りにした。それは、「女性医療」ではなく「一般医療」へと迂回することで、資本獲得の可能性が高まるという事実だ。子宮内膜症は、世界で約2億人の女性が苦しむ疾患であり、診断までに平均4年から11年を要する。この課題解決に挑む企業は、その価値を正当に評価されにくく、資金調達に苦戦している。

「暗黒時代」ともいえる治療の実態

子宮内膜症の病変は多くが2mm未満と極めて微小で、MRIやCT、従来の超音波検査では捉えることが難しい。患者は画像診断の裏付けがないままホルモン療法を受け、半年後の再診を待つというサイクルを繰り返す。治療が奏功しない場合、確定診断にはいまだ外科手術に頼らざるを得ないのが現状だ。

advertisement

「患者たちの苦痛は軽視され、まるで気のせいであるかのように扱われている。向精神薬を処方され、自分の症状が現実のものであると証明するためだけに腹腔鏡手術を受けざるを得ない状況にある」とジソは憤る。

問題の本質は、医師の無関心ではなく、診断ツールの不足にある。ボストン小児病院の婦人科部長であり、ハーバード大学医学部教授も務めるマーク・R・ラウファー医学博士は、次のように指摘する。

「腹膜表在型の子宮内膜症をはじめ、多くの疾患は現在の画像診断では捉えることができない。エンドキュアが開発を進める、子宮内膜症やがんを早期に検出可能な新たな画像診断技術は、診断の在り方を一変させ、治療の選択肢を大きく広げるだろう」。

次ページ > 「女性医療」という看板が、資金調達の壁に

朝香実

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事