ボタンひとつで均一な検査結果を実現
レヴィランは、市販されているあらゆる超音波トランスデューサーに装着可能だ。プローブを機械的に制御し、腹部や骨盤領域をスキャンすることで、MRIの10倍以上の解像度を持つ標準化された高精細3D画像を生成する。しかも、1回あたりのスキャンコストは、従来の約10分の1に抑えられている。
「技師のスキルに関わらず、ボタンひとつで全く同じ結果が得られ、そのまま放射線科医の診断に回すことができる。現在の超音波検査では考えられないことだ」とジソは話す。
超音波分野で45年の経験を持つコンサルタントであり、RVT(登録血管超音波検査技師)とRDMS(登録診断超音波検査技師)の資格を有するデビッド・P・チェルニチェクは、次のように語る。
「私は、45年にわたって超音波分野に携わり、3D技術やロボットガイダンスの進化を見てきた。この領域は、操作者に依存した画像診断から、再現性の高い精密な診断へと移行してきた。エンドキュアは、ロボティクス、マルチプレーン再構成を可能にするボリュメトリック技術、そしてAIを、臨床現場で実用可能な単一のプラットフォームとして統合することで、その流れをさらに加速させている」。
エンドキュアのビジネスモデルは、普及を前提に設計されている。導入時には1万ドル(約159万円)の初期費用が必要で、その後はスキャン1回ごとに120ドル(約1万9000円)のサブスクリプション料金が発生する。これらの費用は、CPTコード(米国の医療保険で定められている診療報酬コード)に基づき、保険償還の対象となる。一方、MRIはインフラだけで100万ドル(約1億6000万円)以上を要し、検査1回あたりの費用も約1000ドル(約16万円)と、患者の自己負担も大きい。
治療薬開発を阻むジレンマ
子宮内膜症には、いまだ治療法が存在しない。その背景を知るためには、臨床試験が抱える問題を理解する必要がある。
新薬の治験において、製薬会社は投薬の前後で病変がどのように変化したかを客観的に評価しなければならない。ところが、現状ではその確認のために腹腔鏡手術を2度行うほかなく、治験参加者の確保における大きな障壁となっている。その結果として、新薬の開発パイプラインは停滞してきた。非侵襲的なモニタリング手段が存在しない限り、大規模な臨床試験の実施は難しく、新たな承認薬の誕生も見込みにくいのが現実である。
「私たちは、このプロセスを根本から変えることができる。非侵襲的に薬効をモニタリングできるようになれば、新薬開発の扉を開くことができる」とジソは語る。
これこそが、多くのメディアが見過ごしてきたエンドキュアのポテンシャルだ。レヴィランは単なる診断プラットフォームにとどまらない。子宮内膜症の治験を大規模に実施可能にするインフラであり、この疾患に対する治療法が将来的に確立されるかどうかを左右しうる存在なのである。


