起業家

2026.04.17 11:00

2億人の子宮内膜症患者を救うため、あえて「ウィメンズヘルス」の看板を外した女性起業家の葛藤

Daria - stock.adobe.com

 資金調達の「抜け道」

ジソは、テクニオン(イスラエル工科大学)で医療ロボット工学の博士号を取得後、20年にわたり医療機器開発に携わってきた。前立腺がん治療のアプリケーションを主導し、前臨床試験からFDA(米国食品医薬品局)の承認取得まで導いた実績を持つなど、製品開発のプロフェッショナルである。だが、彼女は女性医療の領域で資金を調達するには、それとは全く異なるスキルが求められることに気づいたという。

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元来、診断ソリューションを手がける企業は、治療薬開発に比べて資金調達が難しい。そこに女性医療という要素が加われば、そのハードルはさらに高まる。

「女性の健康をめぐる議論は活発だ。JPモルガンのレポートでも、この分野に大きな関心と資金が向かっているとされているが、私たち起業家の手元には、その恩恵はまだ届いていない」とジソは語る。

女性医療分野におけるエグジットを追跡した最新データによれば、その総額は1000億ドル(約15兆9000億円)を突破し、業界全体に勢いをもたらしている。しかし、ジソの経験が物語るのは、カンファレンスでの熱狂と、創業者の手元に届くタームシートとの間にある乖離だ。女性医療分野のエグジットが過去最高を記録する一方で、構造的な資金調達の格差という問題は、依然として解消されていない。

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そこで彼女が導き出した答えは、抜け道を見つけることだった。レヴィランが本来備えている腫瘍学や一般画像診断の機能を前面に打ち出すことで、子宮内膜症という言葉だけでは決して開かなかった扉が開き始めた。この方針転換は決して目くらましではなく、製品が持つ性能を正しく反映したものだ。しかし、1億9000万人の女性を救うための技術を開発する起業家が、投資家との対話の機会を得るために、あえて「がん」を前面に掲げざるを得なかったという事実は、資本市場の歪みを浮き彫りにしている。

投資ファンドのテウザ・ファンドは、エンドキュアへの出資を決断した。同ファンドのギル・カーブスは、その理由を次のように語る。

「エンドキュアには2つの魅力がある。第一に、従来の約10倍という解像度により、極めて早期のがんを含め、これまで臨床医が捉えられなかった病変の可視化を可能にした点だ。これは臨床現場における画期的な進歩と言える。第二に、高品質なヘルスケアデータを取得する新たな手法を確立したことだ。これにより、AIが大きなインパクトを発揮する道が開かれた。従来の超音波画像は解像度が低く、AIが活用できる情報がほとんどなかった」。 

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朝香実

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