実際に、明らかに人使いの荒い人物が指導的なポジションにいる。遅かれ早かれいつかは問題になるのだが。
そういうわけで、キャリアを築きたければ、手段を選ばない思いやりに欠けた相手に対して、自分を主張する必要がある。
ここではひとまず次のことを理解しておこう。
性格がいくらか荒っぽい人が、高いポジションにつくことは珍しくない、ということだ。
神経の細やかな人や穏やかな人、慎重な人はしばしば不利な立場に立たされる。
それに、そのような人たちが成功し、人の上に立つことになれば、結局、その人も自分の不快な面を他人にさらすことになる。
この悩ましい事実を、社会心理学者が突きとめた。
人は出世すると、仲間に対して思いやりがなくなる傾向があるという。相手の要求を無視して、規則を自分の利益のために曲げようとする。
そして、自分がしていることがまったく正しいと感じている。
「ごまかし」が増える傾向も
スタンフォード大学ビジネススクールのデボラ・グルーンフェルド教授は、まさにこれに関する一連の実験をおこなった。
被験者は、権力を与えられたり、自分は他者よりも優れていると感じたりすると、仲間を気にかけなくなっていく。
彼らのマナーは悪くなり、協力的ではなくなっていく。
ポール・ピフやダチャー・ケルトナー、デイヴィッド・デステノといったほかの研究者たちも、これらの実験結果を認めている。
それどころか、さらに悪い事実も突きとめている。
人は権力のあるポジションにつくと、ごまかしたり、嘘をついたりだましたりすることに、ためらいがなくなるという。
とはいえ、注意深く観察する必要がある。
成功した人や、社会的な地位が高い人たちは悪い人間だ、ということでは決してない。
心理学者たちが発見したのは自然の法則ではなく、1つの傾向に過ぎない。
実際にどれくらい成功したのか、どれくらい裕福なのかといったことはあまり関係がない。
その状況において、成功者が自分自身をどのように評価しているかで決まるのだ。


