松田さん:だから、銀行やクレジットカード会社は巨額のコストをかけて、データ改ざんを防ぐための対策をするんです。日本のメガバンクなら1行あたり年間数百億円、どこまで含むかによっては1000億円までいくかもしれません。
アワタニ:膨大な取引を全部間違えないように記録するだけでなく、不正から守るという、ものすごく面倒なことに莫大なコストをかけて信用を守っていたのか。
松田さん:そのコストをかけずに帳簿を改ざん不能にしたのが、ビットコインの技術の優れた点です。ただ日本では、ここに重点が置かれすぎてビットコインのブレイクスルーが少し勘違いされた面もあって。
アワタニ:勘違い?
本質は仲介者なしの遠隔地決済にある
松田さん:電子取引を大勢の人が監視し改ざんしにくくしたのは、あくまでビットコインの技術の一つで、本質は仲介者なく遠隔地決済を実現したことです。海外など遠い場所とのお金のやり取りをするには、「信用」できる誰かに仲介してもらうか自分で持っていく必要がありましたが、そんなめんどうなことをせずに個人間でいつでも自由にできてしまう。これが金融機関の存在を揺るがす内容でして、保守のためのサーバーコストを削減する程度のメリットは、ついでみたいなものなんですよ。
アワタニ:メガバンク1行で年間数百億円が、ついでですか?
松田さん:暗号資産は個人間で直接送金できるので「そもそも金融機関いる?」って話ですから。もちろんブロックチェーンのしくみで不正を監視したほうが、自前でデータを守るよりはるかに安上がりなので、金融機関は導入を考えました。
アワタニ:な、なるほど……!
松田さん:じつは書き換え困難な電子署名の手段なんて、いくらでもあるんです。ホームページアドレスの最初にある「https(*)」も、あれがあるから偽造できないという電子署名みたいなものですし。それで「暗号資産を使ってコストをかけずTOEICの証明書を送れた!」と言われても、って感じですよね。
*https
ウェブサイトの通信を暗号化するためのもの。URLが「https://」で始まるサイトは通信内容が暗号化され第三者に盗み見られない。電子署名技術によって、偽サイトでないことも確認可


