欧州

2026.04.15 07:00

ウクライナの動員体制はいまどうなっているのか? 5年目に入った消耗戦を左右するマンパワー問題

訓練初日に整列するウクライナ軍第118独立機械化旅団の新隊員たち。2026年4月5日撮影(Dmytro Smolienko/Ukrinform/NurPhoto via Getty Images)

訓練初日に整列するウクライナ軍第118独立機械化旅団の新隊員たち。2026年4月5日撮影(Dmytro Smolienko/Ukrinform/NurPhoto via Getty Images)

ロシア・ウクライナ戦争が5年目に入るなか、マンパワー(人的戦力)は依然として双方にとって中心的な課題のひとつとなっている。ロシアよりも国の規模が小さく、長大な戦線を防衛しているウクライナは、ドローン(無人機)をはじめ、戦場でのイノベーション(革新)によってロシアの数的優位をある程度相殺してきた。だが、技術だけでは限界がある。前線を維持し、疲弊した部隊を交替させ、戦闘力を保持していくためには、長期戦に耐え得る十分な動員をすることが引き続き不可欠だ。

この課題はウクライナ側に限ったものではない。英誌エコノミストの2023年11月のインタビューで、当時ウクライナ軍の総司令官だったバレリー・ザルジニー将軍は、ロシアはマンパワーの優位性を生かしきれていないと指摘した。その理由として、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が総動員に踏み切れば政治危機を引き起こしかねないと懸念しているとみられることや、ロシアには大量の追加人員を適切に訓練し、装備させる能力が不足していることを挙げた。

ザルジニーは同時に、消耗戦を遂行するにあたって自身がロシア側の人的損耗に関する許容度を過小評価していたことも認めた。「わたしの間違いでした」と彼は述べている。「ロシアは少なくとも15万人の戦死者を出しています。ほかのどんな国も、これほどの損耗を被れば戦争を止めていたでしょう」

ロシアもウクライナもマンパワー問題を抱えているわけだが、ウクライナ側の事情はロシア側とまた違ったものになっている。ロシアはほかの多くの国であれば政治が不安定化しかねない規模の損失を吸収し続けられているのに対し、ウクライナは国民の信頼、戦闘効率、社会の結束を維持しながら、動員を継続する方法を見いださなくてはならないのだ。

厳しさを増す動員環境

この方法を見いだすのはウクライナにとって、ロシアが全面侵攻を始めた2022年当時よりも著しく難しくなっている。侵攻初期には、多くのウクライナ人が、自分たちの家や家族を守るという切迫した必要性と、不当な戦争を仕掛けてきた侵略者に報復するという動機に突き動かされていた。しかし、2025年には兵役や軍務に対する国民の認識は変わっていた。

ウクライナのシンクタンク、ウクライナ安全保障・協力センター(USCC)のセルヒー・クザン会長は筆者の取材に、ウクライナ国民は、部下を守る有能な指揮官や、自分の専門スキルや関心に合った職務、軍人とその家族向けの充実した社会保障をますます求めるようになっていると述べた。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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