欧州

2026.04.15 07:00

ウクライナの動員体制はいまどうなっているのか? 5年目に入った消耗戦を左右するマンパワー問題

訓練初日に整列するウクライナ軍第118独立機械化旅団の新隊員たち。2026年4月5日撮影(Dmytro Smolienko/Ukrinform/NurPhoto via Getty Images)

クザンは、これらの改革はすでに実行段階に入っているものの、国民の認知は依然として不十分だと指摘している。彼の見解では、多くのウクライナ人は軍務に関する新たな条件をいまだ十分に理解しておらず、この周知不足自体がいまでは動員問題の一部になっている。

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国家能力の試金石としての動員

米欧州陸軍の司令官を務めたベン・ホッジス退役中将は筆者の取材に、ウクライナの動員の課題はたんに兵員を増やすだけことだけでなく、軍をより信頼できる組織にすることにあると述べた。ホッジスの考えでは、ウクライナにとって最も優先順位が高いのは、採用や訓練、装備、維持の改善を通じて組織としての軍を強化していくことだ。「家族が息子や娘は適切に訓練され、装備を与えられ、指揮を受けると信頼できるようにしなくてはいけません」

次に優先すべきは、ウクライナ軍がしっかり「学ぶ組織」になることだと彼は説く。事後検討、知識の共有、組織としての学習をすべての旅団に徹底させる必要がある。3番目の優先事項として、軍の指導部は部隊間の格差を縮小しなければならない。「並外れて優秀な旅団がある一方、時代遅れのソ連型カルチャーを引きずっている旅団もあります」とホッジスは言う。「その差を埋めるのは上級指導部の責任です」

ウクライナの動員問題は、たんにより多くの兵員を徴用するだけの問題であるかのように矮小化されがちだ。だが実際には、これは戦時下での国家の能力が試されるもっと広範な問題である。この戦争では戦術や技術が急速に進化しているだけに、この点はなおさら重要だ。アナリストのゾフは、戦闘の性質が半年ごとに変わるような状況では、一度きりの訓練ではもはや不十分だと指摘する。適応し続けない部隊は、遅れをとってしまう危険がある。

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ドローンや築城、戦術的適応により、ウクライナはロシアのマンパワーの優位性をある程度減じている。とはいえ、ドローンにせよ築城にせよ、あるいは適応にせよ、人員が不要になるわけではない。長期にわたる消耗戦では、人員を最も効果的に訓練し、配置し、保持した側が優位に立つ。ウクライナにとって動員体制の立て直しは、どんな新兵器にも勝るとも劣らないほど重要なものと言えるかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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