サイエンス

2026.04.16 18:00

自然写真コンテストから精選、幻想的な「海中の生物」6選

オーストラリア、シドニー沖のケルプ(海藻)の森から、南太平洋の海原まで。これから紹介する6つの水中シーンは、スクロールして通り過ぎた後も、あなたの心に残るだろう。 DANIEL BROWNE, NATURE PHOTOGRAPHY CONTEST 2025

オーストラリア、シドニー沖のケルプ(海藻)の森から、南太平洋の海原まで。これから紹介する6つの水中シーンは、スクロールして通り過ぎた後も、あなたの心に残るだろう。 DANIEL BROWNE, NATURE PHOTOGRAPHY CONTEST 2025

海は毎年、その秘密のほんの一部を明かしてくれる。そして、その秘密を追って海に潜る写真家たちは、スクロールする手が思わず止まるような写真を持ち帰る。まさにそれを実現したのが、2025年ネイチャー・フォトグラフィー・コンテストの水中部門だ。フリーダイバー、水中写真家、海洋博物学者などからなる応募者たちは、水中で計数千時間を過ごし、私たちのほとんどが直接目にすることのない瞬間を捉えた。

ファイナリストたちの作品がこれほどすばらしいのは、単に技術的な力量だけではない。そこには親密さがある。これらは、遠くから撮った野生動物のスナップ写真ではない。至近距離での出会いだ。

太陽に向かって浮上するジュゴン、空と海のあいだを滑るように泳ぐサメ、まるで夢の中のような青い海に浮かぶクジラの子。一枚一枚の写真は、海がなぜ私たちの注目や驚き、そして保護に値するのかを物語っている。

1. 希少な出会い(撮影:レムナ・ベッカ)

エジプトの海で、希少なジュゴンが優雅に泳いでいる。 REMUNA BECA, NATURE PHOTOGRAPHY CONTEST 2025
エジプトの海で、希少なジュゴンが優雅に泳いでいる。 REMUNA BECA, NATURE PHOTOGRAPHY CONTEST 2025

エジプト沖でのフリーダイビング中に撮影されたこの印象的な写真では、巨大なジュゴンが水面へと浮上している。樽(たる)のようなその体が、水面から差し込む太陽の光を背景に、フレームいっぱいに映し出されている。

その下では、鮮やかな黄金色の縞模様が描かれた魚の群れが、ジュゴンのひれを取り囲んでいる。まるで、便乗しているか、その皮膚に付着した藻を食べているかのようだ。ジュゴンの年季の入った灰色の巨体と、その仲間たちの鮮やかな黄色との対比が、絵画のような構図で捉えられている。

「海洋哺乳動物辞典」によれば、ジュゴン(学名:Dugong dugon)は、海洋哺乳類としては唯一の完全な草食性だ。インド太平洋の温暖な沿岸水域で、ほぼ海草のみを食べている。エジプトの紅海は、野生のジュゴンに出会うことができる数少ない場所の一つだ。

ジュゴン(とマナティー)は、実はゾウの近縁にあたる。そしてゾウと同様に、寿命が長く、繁殖ペースが遅く、生息地の喪失に対して極めて脆弱だ。野生での目撃は希少であり、貴重な存在となっている。

2. スカイ・シャーク(撮影:ジョノ・アレン)

インド洋の浅瀬を泳ぐツマグロ(メジロザメ科のサメ)。 JONO ALLEN, THE NATURE PHOTOGRAPHY CONTEST 2025
インド洋の浅瀬を泳ぐツマグロ(メジロザメ科のサメ)。 JONO ALLEN, THE NATURE PHOTOGRAPHY CONTEST 2025

モルディブの浅く透き通った海を、真下から撮影したこの写真は、サメの印象を一新させる。深海に潜む脅威というより、美しい存在のように映る。

水面すれすれを、滑るようにツマグロが泳ぎ、雲が点在する青空を背景に、シルエットを浮かび上がらせている。水面は、まるで2つの世界をつなぐ鏡のようだ。その視点は、心地よいほどに感覚を狂わせる。サメは、海の生き物というより、まるで大空を静かに旋回する航空機のように見える。無重力状態で、周囲の環境を完全に掌握しているかのようだ。

ツマグロ(学名:Carcharhinus melanopterus)は、インド太平洋地域で最も見分けやすいサメの一種で、ひれの先端にある黒い模様が特徴だ。モルディブは、2010年に導入された漁業禁止措置により、30種以上のサメが生息する、インド洋における重要なサメ保護区として長年位置づけられてきた。

しかし、その保護措置は2025年に撤廃された。この写真は、その未来がかつてないほど不透明な生き物の肖像となった。

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翻訳=米井香織/ガリレオ

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