VC

2026.04.21 16:30

メタやOpenAIによるAI新興の買収を裏で支える、米投資銀行Axomの手腕

stock.adobe.com

大手投資銀行との正面対決が、Axomにとって次の試金石

そうした実績と評判によって、2人はシリコンバレーの有力者たちから注目を集め、信頼も得始めている。セコイア・キャピタルのパートナー、パット・グレイディは、「彼らは、ほかの人にはできない特別なことをやっているわけではない」と話す。「ただ、それを非常にうまくやっている。案件の筋書きを描き、プロセスを管理し、最初から最後まで進めるために無数の細かな判断を積み重ね、最終的に依頼主が望む結果へとたどり着かせるのだ」とグレイディは、2人を評価した。

advertisement

自らの企業SuperhumanをGrammarlyに売却したラフル・ボーラのような創業者にとって、Axomは会社をできるだけ高く売るための心強い助っ人だった。Axomは新たに5社の買い手候補を引き合わせ、交渉に向けた準備も支えた。途中で破談になることも少なくない売却プロセスのなかで、ボーラを精神面でも支えた。

MongoDBによるVoyage AI買収では、提示額を90%上積み

時価総額が200億ドル(約3.2兆円)のITソフトウエア企業MongoDBがVoyage AIの買収に関心を示した際も、AxomはVoyage AI創業者のテンギュ・マーに複数の買い手候補を紹介した。Databricks(データブリックス)やSnowflake(スノーフレーク)などにも競争入札を促した結果、当初の提示額は90%上積みされ、買収額は2億2000万ドル(約350億円)に達した。これはMongoDBにとって過去最大の買収案件となった。

サンフランシスコ中心部にオフィスを構えるAxomは現在、12人のバンカーを抱え、15件の案件を進めている。「私たちはすべての買い手候補と非常に高い頻度で接触している。そのため、OpenAIやAnthropic、CoreWeave(コアウィーブ)、エヌビディア、DeepMindが本気で買収を検討する際に、どのように動くかを正確に把握している」とブレッサーズは語る。

advertisement

AI関連のM&A市場の過熱が続く中、Axomはこの夏までに新たに2人のパートナーを迎え、2026年末までに3人のバンカーを増員する計画だ。2025年5月に同社は、モルガン・スタンレーのメンローパーク拠点に勤務していたバズ・ブラックをパートナーとして採用した。ブラックは同社で、ブラックストーンとビスタ・エクイティ・パートナーズによるSmartsheet(スマートシート)の84億ドル(約1.3兆円)での買収案件などを手がけていた。

モルガン・スタンレーやJPモルガンと、超大型案件で競う局面が待つ

AI関連のM&Aでは多額の手数料収入が見込める中、Axomはエバーコアやモエリス・アンド・カンパニーのような大手ブティック型投資銀行から、パイパー・サンドラーやアレン・アンド・カンパニーのような実績ある中堅市場(ミドルマーケット)投資銀行まで、幅広い顔ぶれを相手に案件獲得を競っている。セコイア・キャピタルのグレイディは、AIブームによる熱狂的な買収競争が落ち着けば、Axomはいずれモルガン・スタンレーやJPモルガンのような大手銀行と、超大型案件をめぐって正面から競うことになると見ている。「彼らにとって、自分たちの力を本当に示す機会になる」とグレイディは語った。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事