M&A助言会社で経験を積んだ2人が見抜いた、中堅AI企業という市場の空白
AI分野に特化したブティック型投資銀行のAxom Partnersは、ブレッサーズとハイタワーによって2023年に設立された。2人はそれ以前、フランク・クアトローネが創業したテクノロジー業界のM&A助言会社Qatalyst(カタリスト)で、それぞれ10年にわたって経験を積んでいた。Qatalystは2008年の創業以来、総額8700億ドル(約138.3兆円)の案件を手がけている。
大手投資銀行が手を出さなかった、中堅規模以下のAI案件に狙いを定める
2人はQatalyst時代に、Square(スクエア)が290億ドル(約4.6兆円)を投じたAfterpay(アフターペイ)の買収や、Analog Devices(アナログ・デバイセズ)が150億ドル(約2.4兆円)を投じたLinear Technology(リニアテクノロジー)の買収などの大型案件に関わった。その一方で、2人は市場に大きな空白があることにも気づいた。それは、中堅規模以下のAI企業を専門に扱う助言会社がほとんど存在しないことだった。Qatalystやゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーといった大手投資銀行の多くは、ベンチャーキャピタルの投資先の上位10%に入るような企業が絡む、巨大テック案件に照準を絞っていた。
ブレッサーズが2009年にQatalystへ入社した当時、彼はクアトローネのもとで同社がクラウドコンピューティングのような技術トレンドの最前線にある案件を積極的に取りに行く姿勢を目の当たりにしたという。「AIは重要な技術ではあったが、当時はまだ、その技術転換を理由に企業を買収する動きは起きていなかった。だが、そうした流れはいずれ始まると私たちは見ていたし、通常はまず小規模な案件から動き出す。だから、その段階では大手金融機関のレーダーにかかりにくいとも考えていた」とブレッサーズは語る。
ChatGPT登場から数カ月後の2023年、Axomを立ち上げ
そして2023年、M&A市場が特に低迷していた時期に、しかもChatGPTの初期モデルが登場してから数カ月後というタイミングで、ブレッサーズとハイタワーはQatalystを離れ、Axomを立ち上げた。


