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2026.04.21 16:30

メタやOpenAIによるAI新興の買収を裏で支える、米投資銀行Axomの手腕

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人工知能(AI)分野のM&Aの総額は2025年、1550億ドル(約24.6兆円。1ドル=159円換算)に達したが、そのほぼ半分を中小規模のスタートアップが占めていた。そんな中、巨大テック企業が有望案件を探す際に、頼りにするのがサンフランシスコのブティック型投資銀行Axom Partners(アクソム・パートナーズ)だ。

Moltbookの電撃売却で存在感を示した、新興投資銀行Axom Partners

1月下旬のある土曜日、投資銀行家のアラン・ブレッサーズ(43)は、長年の友人であるベンチャーキャピタリストからの電話を受けた。その人物は、3日前にローンチされたAIエージェント向けSNS「Moltbook」に出資していた。一夜にして話題となったMoltbookは、1週間足らずで100万人超が訪れるサイトとなっていた。利用者の多くはテック愛好家で、人間が介在せず、機械同士が深い議論を交わす未来をひと目見ようとしていた。

イーロン・マスクやOpenAI共同創業者アンドレイ・カーパシーのような著名なAI研究者もMoltbookに注目していた。「@moltbookで今起きていることは、最近見た中で本当に最も驚くべき、SFの世界が現実になりかけていることを示すものだ。人々のボットたちが、AI版Redditのような場所で自律的に集まり、さまざまな話題を議論している。どうすれば内密に会話できるかまで話し合っている」とカーパシーは、1月30日のXの投稿で述べていた。

週末だけで決着した、メタによる最大約320億円のMoltbook買収

こうした熱狂が広がるなか、複数の企業がすぐにMoltbookの創業者たちに好条件の買収提案を持ちかけた。そして、サンフランシスコの投資銀行Axom Partnersの共同創業者のブレッサーズと共同経営者のブランドン・ハイタワー(40)は、週末のうちに、メタによるMoltbook買収の交渉をまとめ、契約締結までこぎ着けた。買収額は最大2億ドル(約320億円)と推定されている。

Moltbookの投資家であるベンチャーキャピタリスト、エリック・ウィーゼンは、「アランとブランドンが強みを発揮できたのは、メタをはじめとする複数の買い手企業との交渉経験を積み重ねていたからだ。彼らは買い手側の狙いを深く理解していた。何を要求すべきか、何を求めるべきでないか、いつ強く押すべきか、いつ条件を受け入れるべきかを熟知していた」と語る。

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翻訳=上田裕資

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