自社の「シングルブレイン」を構築する
最も重要なレイヤーは「world model」だ。スイは自らのそれを「Single Brain」と呼ぶ。全社データを15分ごとに取り込む統合データベースだ。Slackのメッセージ、CRMの記録、通話の書き起こし、アナリティクス、顧客向け納品物、財務データ。システム内のすべてのエージェントが、この同じブレインに問い合わせる。「営業エージェントがリードを評価するとき、マーケティングの成果。その業界での過去の顧客実績。現在のチームのキャパシティなど全体像が見える」とスイは言う。
これは、企業には「ビジネス全体を継続的に更新するモデル」が必要だとドーシーが書くときの意味そのものだ。そして、ここは今日から始められる部分でもある。
自社にとって最重要のデータソースを3つ選ぶ。例えばCRM、カレンダー、顧客コミュニケーションツールだ。それらを1カ所に流し込む。システムは稼働するたびに賢くなり、その蓄積された知性が、あなたの圧倒的な強みになる。スイはこの点を率直に言う。「モデルがAIなのではない。モデルとは、AIがあなた固有のビジネスを理解できるようにするデータ構造だ。データを蓄積しなければならないため、構築には数カ月かかる」
調整レイヤーをエージェントで置き換える
スイの組織図は劇的に変わった。いま彼は、専門特化したAIエージェント・フリート(群)を運用している。AlfredがCEO業務を扱い、Arrowが営業を回し、OracleがSEOを担当し、FlashがSNSコンテンツを作り、Cyborgが採用を管理する。それらすべての上位にWorld Agentが座り、艦隊全体を横断して調整する。日々50の自動化ジョブが発火し、オペレーションの神経系として機能している。
「どの会社でも、自社の組織図でこの図を描ける」とスイは言う。「具体的なエージェントは変わる。構造は変わらない。調整役、業務機能に対応する専門エージェント、一時的なプロジェクトチーム、そして人間の判断が必要な仕事を担う人間が必要だ」
ドーシーも、Blockの6000人規模で同じ構造を描写している。あなたのビジネスへの教訓はこうだ。現在の機能を洗い出す。人と人の間で情報をルーティングしている機能を特定する。そこがエージェントの最初の役割になる。ボトルネックがどこにあるかは、すでにわかっているはずだ。そこから始めよ。


