リーダーシップ

2026.04.13 21:41

「優秀なマネジャー」止まりで終わらないための5つの転換

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キャリアの初期、あらゆる意味でスーパースターと言える男性と一緒に働いたことがある。重要な締め切りはすべて守り、彼がマネジメントしたプロジェクトは納期どおり、予算内で必ず完遂された。ステークホルダーはいつも彼を絶賛していた。ところが、彼がリーダー職を狙うと、なぜか一度も選ばれなかった。理由を尋ねると、返ってくるフィードバックはいつも同じだと言う。「君は卓越したマネジャーだが、リーダーシップを担う準備ができていない」。こうした場面は実は珍しくない。評価面談で「常に期待を上回る」と並んでいても、それでもリーダーとして見られないことがある。そして、複雑さを増す現代の仕事環境において、この違いはこれまで以上に重要になっている。

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マネジャーとリーダーは似ているが、同じではない

組織にはマネジャーとリーダーの両方が必要だ。どちらもビジネスを前進させるうえで重要な役割を担う。リーダーシップは変化を導くためのビジョンを軸にし、マネジャーはプロセスを実行することで目標を達成する。マネジャーが「物事をうまく回す」ことに尽力する一方で、リーダーは「正しい物事が実行される」ことを確かなものにする。スティーブン・コヴィーの言葉を借りれば、「マネジメントとは成功のはしごを効率よく登ること。リーダーシップとは、そのはしごが正しい壁に立てかけられているかを見極めること」である。最も尊敬されるプロフェッショナルは、両方のスキルセットを育てる。しかし、マネジメントが得意だからといって、自動的に意思決定者の目に「リーダー」と映るわけではない。

リーダーとマネジャーの違いが重要な理由

マネジャーからリーダーへのシフトは、常に重要だった。いまの職場環境は、絶え間ない変化、世代の異なるチーム、そして急速に流入するテクノロジー、とりわけAIによって特徴づけられている。AIは、従来マネジャーが担ってきた仕事を引き受け始めており、伝統的なマネジメントの価値を下げつつある。その一方で、職場の進化があまりに速いため、卓越したリーダーへのニーズは拡大している。今日の環境が求めるのは、感情知能に根ざした、人間中心のアプローチである「オーセンティック・リーダーシップ」だ。オーセンティックなリーダーが不可欠であるだけでなく、彼らに対する期待も高まっている。

従業員は、もはや「何をすべきか指示してくれる人」だけを求めてはいない。実際、最近の調査によれば、38%の労働者は人間の上司よりもAIマネジャーを望むと答えている。それでも多くのプロフェッショナルは、なお「率いられる」ことを望んでいる。彼らが求めるのは、文脈、意味、そしてインパクトを生み出す機会だ。自分の努力が、より大きな何か、重要な何かとどうつながっているのかを理解したいのだ。かつては肩書が、その人がリーダーかどうかを示唆した。だが今は、日々のあらゆる行動のなかでリーダーとしての振る舞いを示さなければならない。ここでパーソナルブランディングが決定的に重要になる。リーダーシップとは、あなたのブランドが行動として表れたものだ。コミュニケーションの取り方や、ステークホルダーにもたらす体験によって形づくられる。肩書が他者に「この人はリーダーだ」と思わせるのではない。あなたが彼らにもたらすインパクトこそがそう思わせる。

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マネジャーからリーダーへのシフト

リーダーとして認められるためには、5つの重要なシフトがある。

1. 統制から文脈へ

マネジャーは仕事をコントロールし、ルールやガイドラインの順守を確実にすることに注力する。リーダーが提供するのは文脈だ。なぜそれをやるのかを理解できるようにし、人々が自律的により良い意思決定を下せるよう支援する。

2. タスクからインパクトへ

マネジャーは活動や成果物を追う。リーダーは仕事を成果に結びつける。そして「なぜそれが重要なのか?」という問いに一貫して答える。

3. 答えから問いへ

マネジャーは答えを持つことを期待される。リーダーは、力強い問いを投げかけるといったコーチングの手法で新しい思考を促し、厄介な課題に対する革新的な解決策を引き出す。

4. 権限から影響力へ

マネジャーは地位に依存する。リーダーは信頼、信用、関係性を育む。人々が彼らに従うのは、従わざるを得ないからではなく、従いたいからだ。

5. パフォーマンス管理から人の成長へ

マネジャーはパフォーマンスを評価する。リーダーは成長に投資する。単に指示するのではなく、周囲を引き上げ、挑戦を促すことが自分の役割だと捉える。

これらのシフトは劇的ではないが、重要である。こうした行動を一貫して示すことが、周囲に「あなたはリーダーだ」と伝える。

リーダーとして認められるには

周囲に自分のリーダーとしての可能性を認めてもらうには、次の行動を示すことだ。

リーダーシップを示す。リーダーは、周囲で起きていることを読み解き、自分が何を信じ、物事がどこへ向かうと考えるのかを共有する。自分ならではの視点を確信をもって提示する。

仕事をインパクトの観点で語る。何をしているかではなく、それがどんな違いを生み出しているのかを語る。活動から成果へ視点を移すことで、周囲はあなたが生み出す価値を理解しやすくなる。

タスクではなく文脈で導く。タスクに飛び込む前に、より大きな全体像を共有する。自分の仕事が広範なミッションとどうつながるかを理解できるようにする。これが足並みをそろえ、主体性を生む。

周囲の人を称える。リーダーは周囲の人に光を当てる。貢献を公の場で認め、人が学び成長する機会をつくる。リーダーシップとは注目の中心になることではない。より多くのリーダーを生み出すことだ。

一貫性を保つ。リーダーシップは一度きりの行為ではない。目に見える行動を一貫して積み重ねることで築かれる。行動を自分の価値観と一致させれば、周囲はあなたに何を期待できるかがわかる。それが信頼を生む。

これらの行動は、取り組むべきことが多いと感じられるかもしれない。リーダー育成コンサルタントのメリッサ・ジャニスは、こんなヒントを教えてくれる。「組織にリーダーシップ・コンピテンシーの枠組みがあるなら、あなたは幸運だ。それは昇進を決める人々にとっての『リーダーシップとは何か』を正確に定義している。そのコンピテンシーを一貫して示し、自己評価やレビュー面談ではその言葉を使うことだ」

リーダーであることは選択であり、良い成果へのご褒美ではない

多くのプロフェッショナルがマネジャーの枠にとどまるのは、能力や意欲が欠けているからではなく、いくつかのよくあるパターンがあるからだ。実行に意識を固定し続ける。リーダーシップに踏み出すのではなく許可を待つ。リーダーになるには肩書が必要だと信じる。リーダーシップはキャリアのはしごの段ではない。日々、どう考え、どう伝え、どう存在するかという選択である。それは、人々を目的につなげ、周囲の成長を助けるやり方に反映される。昇進した日にリーダーになるのではない。他者があなたの振る舞いを一貫して「リーダーらしい」と認識したときに、昇進が起きる。肩書や経験年数にかかわらず、あなたはリーダーとして認められる機会を持っている。それをつかみ取れ。

ウィリアム・アルーダは、基調講演者、ベストセラー作家、そしてパーソナルブランディングの先駆者である。対面・オンライン双方で、人を惹きつけ、魅了し、記憶に残るプレゼンテーションを実現するためにリーダーをコーチしている。

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