これは民間分野と対照的だ。民生用ドローンは、同等の性能なら価格が年々下がる。中国の大手ドローンメーカー、DJIの現行モデルである「Neo 2」は、2013年発売の初代「Phantom」に比べると格段に高い性能を誇りながら、価格はおよそ6分の1だ。DJIに規模の経済や商用技術という強みがあるのは言うまでもない。それに対してトライトンのような軍用無人機はごく少数しか生産されず、すべて特注で可能な限り最高の品質水準でつくられている。
国防総省は「ドローン・ドミナンス(無人機優勢)」に向けた大きな構想を掲げており、次期予算では無人機の調達や関連した取り組みに数百億ドル規模の資金が割り当てられる見込みだ。
米国は、小型ドローンを1機あたり数百〜数千ドルで文字どおり何百万機も調達しているウクライナのような道を進む可能性もあれば、これまでと同じような調達路線を引き続きたどる可能性もある。国防総省が2023年に始めた「レプリケーター」計画は、ウクライナを模倣して低コストのドローンを大量かつ迅速に生産することを目的としているが、実際はといえば既存のスイッチブレード600無人攻撃機を1機あたり7万ドル(約1100万円)超で調達している。このドローンの性能はウクライナのドローンを上回るものの、圧倒的な数の少なさを補えるものではない。
無人機の大きなメリットは、有人機と異なり完全に消耗品として扱える点にある。たとえばホルムズ海峡のような危険な区域にも、人的損害を出すリスクなしに投入できる。とはいえ、その数が任務上の要求に対して少なすぎたり、事故や敵のミサイルで1機につき2億ドル(約320億円)を超える損失を被ったりする場合、その無人機の取り組みは抜本的な見直しが必要だと言わざるを得ない。


