ドローン技術は有人のポセイドン部隊の能力を拡張することが意図されていた。つまり、より低コストの無人機を追加することで数を補い、全体としての能力を高める狙いだった。
MQ-4Cトライトンは米空軍のRQ-4グローバルホーク無人偵察機を発展させた機種で、航続時間は30時間となっている。AN/ZPY-3多機能アクティブセンサー(MFAS)というレーダーを搭載し、1回の飛行でおよそ520万平方kmをカバーする能力を持つ。
トライトンのコストがかさんできた経緯は、米海軍の予算契約を年ごとに細かく追っていくと明らかになる。
2016年度に調達された最初の3機のMQ-4Cのフライアウェイ・コストは、1機あたり1億2200万ドル(現在の為替レートで約195億円)だった。どんな機種も初期ロットは不具合の解消などのため高額になる傾向にある。なのでトライトンの場合も、価格はこれ以降、低下していくはずだった。
実際はそうならなかった。2018年度の米海軍予算ではMQ-4Cがさらに3機計上されたが、フライアウェイ・コストは1億3400万ドル(同214億円)に上昇していた。それでも当時、2020年度にはコストが10%下がると見積もられていた。
ところが2020年度予算でもトライトンのフライアウェイ・コストは下がらないどころか、1億4600万ドル(同約233億円)へとさらに上がった。にもかかわらず、計画担当者らは将来のコストに関して以前にも増して楽観的になっており、2024年度にはフライアウェイ・コストが20%低下すると見込んでいた。
もうあまり驚かないだろうが、実際の2024年度予算ではフライアウェイ・コストはまたしても上がり、1機あたり1億8700万ドル(約299億円)に達した。つまり、支援役のトライトンが支援相手のポセイドンよりも高価になってしまった。
トライトンに振るわれた大ナタ
ここまでくるとトライトンの価格高騰は見過ごされず、米海軍は計画の縮小に踏み切った。2024年度予算では「MQ-4Cトライトンの在庫要求は統合要求監査評議会(JROC)によって再評価された。(中略)この削減により、プログラム・オブ・レコード(POR、正式な調達プログラム)の新たな無人機総数は70機から27機になった」と米国防総省の文書に記されている。


