リーダーシップ

2026.04.13 20:39

「語る」から「つくる」へ──AI時代のリーダーシップ実験

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数週間前、私はHarvard Business Reviewに、ソートリーダーシップは死につつあると書いた。権威ある響きをまといながら、経験によって鍛えられていない洗練されたAI生成の「洞察」に、私たちは溺れている。組織は未来を説明する人材の採用をやめ、未来をつくる人材を採用すべきだと論じた。私はこの転換をthought doership(思考する実行)と呼んだ。

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この記事は反響を呼んだ。受信箱に押し寄せた反応は大きく2つに分かれた。1つは「その通りだ」という認識である。変革系の基調講演に6桁ドルを費やしながら、何も成果が残っていないリーダーたちだ。もう1つは、私が予想すべきだった問いである。では、思考する実行とは実務で実際にどのような姿なのか。採用基準としてではなく、リーダー自身が行うものとして、いったいどんなものなのか。

もっともな指摘だ。私は皆に、助言者には「傷跡」を求めよと言った。ならば今度は、私が自分の傷跡を示す番である。

400時間、75倍

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過去9カ月間、ハーバード・ビジネス・スクールの教授とともに、私は自分自身を対象に実験を行った。問いは単純だ。深い領域知を持つ1人が、生成AIを調査助手ではなく、本物の「オペレーションのパートナー」として使うと何が起きるのか。

私は思考をモデルに外注しなかった。モデルとともに「つくった」。Claude、Claude Code、ChatGPTを使い、戦略文書を作成し、プラットフォームを試作し、組織フレームワークを設計し、オペレーティングモデルを起草し、ピッチ資料を作り、データセットを分析し、アイデアをストレステストした。その速度と規模は、従来のツールで1人で取り組んでいたなら、物理的に不可能だっただろう。9カ月で投じた個人時間はおよそ400時間。フルタイムではない。集中した、意図的で、高強度の仕事だ。早朝や週末、すでにシニアリーダーなら誰もが投入している類の時間である。

私たちは、そのアウトプットを、トップティアのコンサルティング契約で同等の仕事を生み出すのに必要なコストと比較して測定した。数字は驚くべきものだった。私の400時間は、マッキンゼーやBCGのレートで、(AI支援なしの)約3万時間分の請求対象工数に相当するアウトプットを生み出した。コンサルティング価値にして約1200万ドルである。生産性は75倍ということになる。

ここで、その意味するところと、意味しないところを正確にしておきたい。これは、私がコンサルタント75人を置き換えたという意味ではない。従来のボトルネック、すなわち「アイデアがある」ことと「そのアイデアを検証し、伝達し、運用に落とし込むための成果物をつくる」ことの間にあったギャップが崩壊した、という意味である。かつてはアナリストのチーム、プロジェクトマネジャー、そして8週間の請求工数を要した仕事が、いまでは、その推進者が「良いもの」を見分けられるのであれば、午後のうちに起こり得る。

最後の一文こそが核心であり、多くの人がAIについて誤解している点でもある。

倍率を生むのはモデルではない。あなたである。

いま広がっている魅力的な物語がある。AIは「偉大な平準化装置」であり、ツールにアクセスできさえすれば誰でも専門家レベルの仕事ができる、というものだ。私は前回の記事で、偽のソートリーダーシップに関して、なぜそれが危険なのかを説明した。しかし、その裏側も同じくらい重要である。真の専門性とオペレーションの勘を持つ人がこれらのツールを手にすると、得られるレバレッジは並外れている。

75倍の増幅は、モデルが卓越しているから起きたのではない。モデルは時に卓越している。だが同時に、自信満々に誤り、構造的に手を抜き、見栄えはするが何も言っていない成果物を生み出しがちでもある。増幅が起きたのは、私がその違いを見分けられたからだ。会社をつくり、売却し、失敗を見届け、やり直す。その30年が、どれほどプロンプトエンジニアリングを積んでも再現できないフィルターを私に与えた。どの出力を残し、どれを捨て、どれを3ラウンド深掘りし、どれがそもそも誤った問題を解いているのかを、私は知っていた。

この実験が明らかにした逆説はこうだ。AIは、すでにそこにあるものを増幅する。仕事をしてきた人の手にかかれば、それは力の増幅器になる。専門性を演じている人の手にかかれば、それは自信の増幅器になる。そしてこの2つは、まったく別物である。

偽の専門家がAIを使えば、より多くの偽の専門性を、より速く生産する。オペレーターがAIを使えば、検証され、圧力下で点検され、運用に根差した仕事を、より速く生産する。ツールは両者の差を埋めない。むしろ広げる。

AIとともに「つくる」とは、実際にどういうことか

ここは具体的に述べたい。具体性こそが要点だからだ。

私がモデルをオペレーションのパートナーとして使ったというとき、それはプロンプトを打ち込んで文書を得た、という意味ではない。無尽蔵のスタミナを持ち、組織固有の知識はないが有能な若手メンバーと働くのと同じように、私はモデルと働いた。私が提供したのは、文脈、判断、方向性である。彼らが提供したのは、速度、射程、そして私の脳だけでは追いつけないペースで反復できる能力だった。

ある日は、プラットフォーム型の人材戦略に向けた組織モデルを12通り生成し、自分の会社で直面してきた現実の制約と照らし合わせ、線形思考では到達しえなかったハイブリッドにたどり着いた。別の日には、Claude Codeを使って、開発チームならスコープ策定に数週間かかるようなツールの試作を数時間で行い、実際のリソースを投じる前に、そのアイデアを追う価値があるかどうかを見極めた。そしてまた別の日には、モデルに自分の前提へ反論させ、手強い取締役会メンバーのように自分の推論をストレステストするよう、意図的に促した。

失敗は成功と同じくらい重要だった。モデルが構造的には整っているが、戦略としては空虚な成果物を生み出す期間もあった……私が前回の記事で書いた「専門性の劇場」に相当するAI版である。見た目は戦略だ。適切な章立てがあり、適切な語彙もある。だが、視点がない。それを何度も見抜くことこそ、人間の専門性が価値を発揮する場面である。

一方で、モデルが私の見落としていたつながりや、データセットを横断するパターン、業界間の構造的アナロジー、戦略の二次的含意を浮かび上がらせる瞬間もあった。そうした瞬間は本当に価値があった。だが、それは私が、モデルが扱えるだけの運用上の具体性をもって問題を設定していたからこそ起きたことでもある。「入力がゴミなら出力もゴミ」という鉄則は、75倍になっても変わらない。

リーダーシップへの示唆

前回の記事で私が挑んだCEOとCHROにとって、これが何を意味するかを述べよう。

領域知を持つ1人が400時間で1200万ドル相当の戦略アウトプットを生み出せるのだとすれば、従来のようにコンサルティングファームやソートリーダーからそのアウトプットを購入するモデルは、真剣に再検討されるべきである。私はコンサルティングが時代遅れだと言っているのではない。「社内で構築できるもの」と「外注が必要なもの」の比率が劇的に変化したのに、多くのリーダーシップチームが、その変化を反映したメンタルモデルに更新していないと言っているのだ。

これには3つの実務的な含意がある。

第一に、リーダーはツールに自分の手で触れる必要がある。2時間のデモでも、企業のAIリテラシー研修でもない。実際の仕事のなかで、である。この移行をうまく乗り切るCEOとは、AIについて説明を受ける側ではなく、チームとともにAIで「つくる」側の人間だ。AIについて戦略的意思決定をしているのに、実際に何か現物を生み出すために自分で使ったことがないのであれば(戦略文書、試作品、プロセス再編など)、あなたは私が前回の記事で批判したのと同じ「安全な距離」からリードしている。

第二に、「つくるか、買うか、助言を得るか」の計算を見直すべきである。75倍の増幅は、外部の力を二度と借りないという意味ではない。借りる外部の力の性質が根本的に変わるべきだという意味である。いまや社内で生成できる分析に金を払うのではなく、AIの出力を信頼できるものにする運用上の専門性、すなわちフィルター、判断、傷跡に金を払うべきだ。あなたの領域で実際に構築した経験があり、チームがより速く構築できるよう助けてくれる人材を招くのであって、週末に自社の人間でも作れてしまうようなデッキを生み出す人材に金を払うべきではない。

第三に、「シニア」とは何かを再考すべきである。従来、シニアリティの価値は、数十年にわたって蓄積されたパターン認識へのアクセスにあった。そこは変わっていない。変わったのはスループットである。AIツールを持つシニアリーダーは、自らのパターン認識を、2年前には不可能だった速度と規模で行動に移せるようになった。これにより、経験豊富なオペレーターの価値は減るどころか指数関数的に高まる。ただし、実際にツールを使うなら、である。AIへの習熟を欠いたシニアリティは、価値が目減りしていく資産である。

仕事を示せ

前回の記事で私は、リーダーに対して「洞察」ではなく「実験」を要求せよと挑んだ。語り手ではなく、つくり手を雇え。助言者はスライドデッキではなく傷跡で見極めよ、と。

この記事は、私が自分の助言を実行している姿である。

400時間。9カ月。アウトプットは75倍。主張ではなく測定である。私は自分がすごいと言うためにこれを共有しているのではない。AIの可能性を語るのをやめ、実際の仕事にぶつけて検証し始めたとき、思考する実行がどのような姿になるのかを示すために共有している。結果は仮説ではない。記録されている。

ツールはすでにある。完璧ではない。私は400時間の多くを、修正し、軌道修正し、悪い出力を捨てることに費やした。だが、この非対称性は否定しがたい。これらのツールに、真の専門性と真の問題を携えて直接向き合うリーダーは、市場の大半がまだレポートの発注で済ませているようなことを、実際に構築してしまうだろう。

未来は今も、最初にそれをつくった人のものだ。私は、その「つくる」が実際にどのようなものかを示そうとしているにすぎない。

forbes.com 原文

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