欧州

2026.04.12 08:00

EUの対ウクライナ政策を左右するハンガリー総選挙 政権交代の可能性は

ハンガリーのオルバン・ビクトル首相。2026年3月15日撮影(Janos Kummer/Getty Images)

他方で、オルバン首相がウクライナとの対立をどこまで激化させられるかには限界もある。ハンガリーのアナリスト、サボルチ・パニは筆者の取材に対し、「ハンガリーとウクライナの関係で事態を激化させたり報復したりする能力は、ウクライナの方がはるかに優れている」と説明した。その手段には、同国を経由する石油や天然ガスのパイプラインを巡ってハンガリーに圧力をかけることも含まれる。言い換えれば、ハンガリーはEUの枠組み内では妨害することはできても、ウクライナとの直接的な二国間関係では、必ずしも優位な立場にあるわけではない。

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最近の報道により、ハンガリーとロシアの間には密接な関係があるとの見方が強まった。米ニュースサイト「ポリティコ」は、昨年12月にロシアの首都モスクワで開催された会合を契機に、エネルギー、貿易、文化など幅広い分野にわたる両国の協力を拡大するため、これまで公表されていなかった12項目の計画が盛り込まれたロシア政府の文書を公開した。

ロシアの「インサイダー」やポーランドの「Vスクエア」などの独立調査報道機関は先月末、ハンガリーのシーヤールトー・ペーテル外相とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相の通話記録を暴露した。その中で、シーヤールトー外相はウクライナに関するEUの協議の内容をロシア側と共有し、場合によってはEUの内部文書を提供することを申し出ていた。暴露された2023~25年にかけての両外相の通話記録は、ウクライナのEU加盟問題などを巡り、ハンガリーがロシアと足並みをそろえていたことを示唆している。シーヤールトー外相はこれを否定し、録音は「外国の諜報(ちょうほう)機関による干渉」だと述べ、外部勢力がハンガリーの議会選挙に影響を与えようとしていると非難した。

ロシアにとって、EUとNATOにおけるハンガリーの役割には実利的な価値がある。制裁や財政支援、加盟手続きに関するEUの決定には全会一致が必要となるため、小国であっても加盟国は決定を遅らせたり、内容を骨抜きにしたりする力を持つことになる。テルヘシュ議員は次のように指摘した。「もしオルバン首相が権力を失えば、ロシアはEUとNATOの双方で重要な同盟国を失うことになるだろう。ハンガリーは拒否権を行使する立場として、プーチン大統領の戦略的利益に悪影響を及ぼす決定を遅らせたり阻止したりしてきたからだ」

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オルバン首相は、自身の対ロシア政策に対する批判を一蹴し、ハンガリーの立場は国益、特にエネルギー安全保障の維持と紛争への直接的な関与の回避に基づいていると説明した。しかし、最近の世論調査によると、同首相の外交政策は国民の支持を失いつつあるようだ。欧州外交評議会は9日、1001人のハンガリー国民を対象とした世論調査結果を公表した。それによると、回答者の68%がハンガリーの次期政権にはEUに対して異なる姿勢を取ってほしいと考えていることが明らかになった。47%がオルバン首相を信頼していないと答えた。

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翻訳・編集=安藤清香

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