マーケティング

2026.04.11 20:51

B2Bマーケティング予算は増加、それでもプレッシャーが高まる理由

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David Steifman、Energize Marketing共同創業者。

私は20年以上にわたり、企業向け(B2B)マーケターと緊密に仕事をし、需要創出を実際の事業目標と整合させる支援をしてきた。その間、需要創出の役割は大きく変化してきた。そして現在、プレッシャーの源泉は、予算の縮小やツール不足ではなく、パイプラインと売上に対する期待の高まりにある。

リードが戦略を定義していた頃

キャリアの初期、世界規模のメディアネットワークを通じてテクノロジー系出版社を代表していた私は、テクノロジーブランドのホワイトペーパーをシンジケーション(配信)することが、リード単価(CPL)ベースで販売できるという説明をする場面が多かった。のちに私自身が出版社側に回ると、読者獲得(サーキュレーション)チームが需要実行の役割へとシフトし始めたことを受け、印刷版雑誌のマストヘッドに「需要創出」の肩書きを載せるよう働きかけた。

とりわけ営業やマネジメントの出身者に多かったが、顧客の予算に関しては過敏なほどの配慮が見られることが少なくなかった。「大きく売り込むな、顧客に予算がない」や「素晴らしいアイデアだが、規模を小さくしよう」といった言葉を聞いた記憶がある。それを何度も聞けば、チームの思考が次第に小さくまとまるように訓練されてしまうことがある。私はそれでも、境界を押し広げようとするチームを率いようとしてきた。

顧客への予算要請が縮小される一方で、出版社自身はプログラムをどう拡大するかをまだ模索していた。当時、リード獲得はしばしば、その媒体が実際に到達できるオーディエンスの規模に制約されていた。オーディエンスが有限であれば、リードも有限だった。

そのため2026年を迎えるにあたり、AIによる効率化が盛んに語られるなかで、私は再び予算が引き締まる可能性があると予想していた。だからこそ、私たちの調査が正反対の方向性を示したことに驚いた。

意外な変化

私の組織がまとめた2026年版「需要創出の現状レポート(State of Demand Generation Report)」では、北米をはじめとする主要地域のB2Bチーム(シニアマネジメントからCレベルまで)300組を対象に、2025年10月に実施した調査に基づき、予算が増加していることが明らかになった。その理由は、需要創出チームが単にファネルを満たすだけでは済まされず、はるかに多くの役割を求められているためである。経営層が、創出パイプラインや売上への影響により重きを置くにつれ、需要創出への投資は増える一方で、その見返りとして、より明確な事業インパクトが期待されている。

この投資は朗報のように聞こえる。しかし、そこに伴う説明責任がどれほど増えるかを考えると、話は変わる。掘り下げるべき点は多い。過去1年、私は小規模なイベントフォーラムや業界ディスカッションの場でマーケティングリーダーと向き合う機会を得たが、パイプラインに対する説明責任へと軸足が移っていることは、もはや見過ごせない。

調査対象のマーケターの過半数(53%)が、今年は予算が増えると回答した。これは、今日多くのチームが感じているプレッシャーが、説明責任の高まりに起因していることを示唆する。さらに、マーケティング総支出のおよそ3分の1がすでに需要創出にひも付けられており、マーケティングがパイプラインと売上に直結しているという期待を一段と強めている。

いまやマーケティングのダッシュボードは、リード数だけを追うのではなく、パイプラインの進捗、アカウントのエンゲージメント、購買プロセス全体にわたる売上への影響に焦点を当てて追跡することが求められている。

マーケティングがパイプラインと売上を担う

エコシステム全体での会話の変化も、私は感じ取っている。顧客と話す場合でも、顧客の代理店と話す場合でも、議論はよりアカウントターゲット型で戦略的になりつつある。強いコンテンツ、統合されたデジタルチャネル、買い手やインフルエンサーとの有意義なエンゲージメントを組み合わせた、長期的なプログラムに焦点が当たることが多い。

予算は増えているかもしれないが、マーケティングチームにかかるプレッシャーの性質は根本的に変わった。マーケティングは、歴史的には営業指標と見なされてきた成果に対して、いまや説明責任を負っている。

それは理にかなっている。今日の買い手は、自ら調べる行動をはるかに多くとり、営業との会話が起きるずっと前から、ブランドに対して信頼を築いていることが多い。さらに買い手は、大規模言語モデルやその他のAIツールを通じて、ほぼ即座に答えを得られるようになった。現在、調査のためにどこへ行くかは、数年前と比べても大きく変化している。

テクノロジーは潤沢、実行にはギャップ

過去10年で、多くの組織はマーケティングテクノロジーに投資してきた。オートメーションプラットフォーム、インテントデータ提供事業者、予測分析ツール、そして近年ではAI駆動のソリューションが、現代のマーケティングスタックを形づくっている。そしてもちろん、市場はいまやAIアウトバウンドツールであふれ、それぞれがパイプラインと売上を加速すると約束している。

多くの組織が似通ったツールへアクセスできるようになった一方で、成果には差が出る。その違いは、多くの場合、チームがプロセスをどれほど明確に定義し、施策の優先順位をどう付け、共通目標のもとで営業と整合できているかにある。

例えばインテントデータを見てみよう。調査回答者の99%がサードパーティのインテントデータを利用しているが、その有効性を挙げたのは7%にとどまった。AI導入でも同様の傾向が見られる。いまやマーケターの過半数がコンテンツやパーソナライゼーションにAIを活用しているにもかかわらず、それらのシステムが依拠するデータの品質に「非常に高い自信がある」と答えたのは22%にすぎない。

戦略とアラインメント

私はテクノロジーの強い支持者である。テクノロジーは実現手段だ。しかし、ツールだけではパイプラインは生まれない。

マーケティングリーダーは実行に注力し、営業と緊密に連携してパイプライン指標をより明確に定義し、有意義なエンゲージメントを生む施策に優先順位を付けるべきである。全体として、成功しているチームは、定義されたアカウントリストのもとで足並みをそろえ、それらの組織内の購買委員会をマッピングし、当該アカウントを中心に、コンテンツ、デジタルエンゲージメント、営業アウトリーチを連動させている。

私たちの最新の調査データでは、マーケターは、志向段階にある場合でも、すでに実行している場合でも、リサーチに基づくコンテンツとマルチタッチプログラムを優先している。そこには、短尺形式、エピソード型、オンデマンドのウェビナーも含まれる。

これは、B2Bの買い手が実際にどう行動し、どうコンテンツと関わっているかを反映している。買い手が検索やAIを使って、より速く答えを見つけている状況を見れば明らかだ。これに対し、独自のインサイトや実世界のケーススタディに基づくプログラムは、意思決定が行われるプロセスにより適合する。私はすでに、ブランドがこの変化を取り込み、その要請を実質的な優位へと転換している例を目にしている。

振り返れば、需要創出は単純なリード獲得から、今日のビジネス内部でより戦略的な役割へと進化してきた。その変化はプレッシャーを増すが、同時に重要な事実を示しているとも思う。マーケティングは、事業成長を最も直接的に駆動する存在の1つになったのだ。

そしてその責任には、より高い期待が伴う。同時に、マーケティングリーダーが自社の未来を形づくる機会も大きくなる。多くの点で、今日のマーケターはこれまで以上に多くを求められている。この進化は認識されるに値する。

forbes.com 原文

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