Redpoint Venturesは、エンタープライズソフトウェアの「入れ替えロードマップ」とも言うべきものを事実上公表した。同社が今週公開した「2026 Software and AI Market Update」は、AIネイティブのベンダーへの置き換えについてCIOがどれほど前向きかという観点から、SaaSのカテゴリをランキング化している。AIをいまだに「製品機能」の1つとして扱う水平型ソフトウェア企業は、この結果に震撼させられるはずだ。
VCの関心を引いた数字
RedpointのCIO調査データには、立ち止まって見る価値のある統計がある。エンタープライズCIOの46%が、既存ベンダーをAIネイティブの代替案に置き換えることに「積極的に前向き」だというのだ。レポートでは、逆に言えば54%が既存ベンダーにAIを追加してほしいと考えている点を、既存ベンダーへの信任投票として位置付けている。だが、ベンチャー投資家にとってより重要なシグナルは、むしろ反対方向にある。
Redpointのパートナーであるローガン・バートレットは、この緊張関係を率直に指摘した。3月27日のXへの投稿で、彼はこの数字が予想を上回ったと書いている。「この調査を見る前に聞かれていたら、20%くらいだと言っていただろう。CIOは今、(私の先入観に反して)保守的というより貪欲だ。そしてこれは長くは続かない」。つまり、窓は開いているが、おそらく長くは開いていないということだ。
置き換えランキング
このレポートは、AIネイティブの競争に対して前向きなカテゴリを「上位2つ」に挙げたCIOの割合によって、ソフトウェアカテゴリをランキング化している。Salesforce Automationが83%で首位に立ち、Customer Service Managementが56%、ITSMが55%で続く。ERPとProcurementはそれぞれ50%だ。Business Intelligenceは43%、HRISは40%、Cybersecurityは33%となった。
さらに下位では、General Productivityが28%、Integration/Automationが21%、Collaborationが20%、Project ManagementとDevOpsがいずれも19%、Finance Opsが14%だった。このリストは調査結果というより、AIネイティブの創業者にとって優先度付きのM&Aターゲットリストのようにも読める。
上位に集まるカテゴリには共通点がある。いずれもワークフロー実行システムであり、行動を調整し、ステータスを追跡し、結果を記録するツールだ。これらは、バートレットの投稿が指摘するように、本質的には「調整(コーディネーション)」の問題である。レポートは「AIは調整の問題を本質的に解決する」と述べる。「製品の中核的な価値提案が、AIがデフォルトで実行することそのものである場合、脅威の質が変わる」というわけだ。
資金はどこから来ているのか
予算の文脈は重要だ。Redpointのレポートによれば、AI支出の45%は新規のIT投資ではなく、既存のソフトウェア予算からの付け替えによって賄われている。同時にCIOの54%がベンダー統合を積極的に進めており、AIによってベンダー数が増えると見込むのはわずか3%にとどまる。市場はますます集中している。
水平型SaaSの既存企業にとって、この計算は厳しい。過去12カ月で、上場の水平型SaaSは35%下落した一方、垂直型SaaSはプラス3%、インフラはほぼ横ばいのプラス2%だった。市場が構造的に低い長期成長を織り込むにつれ、上場SaaSのマルチプルは「今後12カ月の売上高」の4.1倍まで圧縮され、10年以上で最低水準となった。
ベンチャーキャピタルが注目する理由
Redpointの整理は、資本をどこに投下するかに関する投資テーゼでもある。レポートは、AIエージェントがソフトウェアをはるかに超えて、アドレス可能市場を拡大していると主張する。Copilot時代のAIは既存のソフトウェア予算を奪い合ったが、同社はTask Agentsが市場をおよそ5000億ドルから1兆2000億ドルへ拡大すると見積もる。ナレッジワーカーのワークフローを対象にする自律エージェントは、米国の労働支出だけでも理論上の上限を6兆2000億ドルまで押し上げるという。
非上場市場のバリュエーションについて、レポートは直感に反する見立ても示している。2026年、トップティアのシリーズBおよびCのソフトウェア企業は、中央値でARRの61倍で取引されている一方、上場の高成長ソフトウェアは9.7倍だ。見出し上のプレミアムは528%で現実離れして見えるが、成長率を織り込むと話が変わる。非上場企業はARRが中央値で640%成長しているのに対し、上場の比較対象はおよそ29%にとどまる。成長率で調整すると、非上場企業は上場の同業に対して86%のディスカウントで取引されているとレポートは算出する。
同社が参照する歴史的パターンは、過去のプラットフォーム転換で一貫している。インターネット、クラウド、モバイルの各時代では、持続的なカテゴリリーダーとなった企業の多くが、移行の4年目と5年目に創業している。ChatGPTがローンチされたのは2022年11月だ。現在は4年目に当たる。
既存企業の問題は技術ではなく組織にある
Redpointのレポートは、既存企業を完全に見限ることは避けている。CIOの54%は依然として、新規参入へ切り替えるよりも、既存ベンダーがAI機能を構築することを望んでいる。しかし同社は、レガシーなソフトウェア企業が直面する組織上の課題は、機能をリリースするだけにとどまらないと論じる。
AIネイティブのプロダクト開発では、標準的なプロセスを逆転させる必要がある。顧客要件を集めて仕様通りに作るのではなく、AIネイティブのチームはまずモデルが実際に何ができるのかを理解し、そこから顧客が必要とするものを前向きに推論しなければならない。それには異なるリーダーシップ像、異なる採用パターン、そしてプロダクトロードマップとの根本的に異なる関係が求められる。レポートの表現を借りれば、「これはモバイルアプリのローンチではない。再創業なのだ」。
カテゴリランキングを注意深く見守るVCにとって、含意は明快である。AIネイティブの代替案に前向きなCIOの46%は、単なる調査データではなく市場からのシグナルだ。Salesforce Automationだけで83%が前向きという状況では、機会は投機的でも初期段階でもない。いま存在し、しかも時間制約のある機会である。



