宇宙

2026.04.11 18:30

「パンスターズ彗星」が見ごろ、4月20日頃まで 17万年ぶりに地球接近

2026年4月8日に撮影したパンスターズ彗星「C/2025 R3(PanSTARRS)」(Dimitrios Katevainis, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons)

2026年4月8日に撮影したパンスターズ彗星「C/2025 R3(PanSTARRS)」(Dimitrios Katevainis, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons)

米航空宇宙局(NASA)主導の有人月探査ミッション「アルテミスII」の宇宙飛行士たちが月の裏側から皆既日食を目撃したニュースはまだ記憶に新しいが、今度は地上に暮らす私たちがこの目で楽しめる天体ショーが今週末から始まる。

夜明け前の空に、新たな彗星が現れつつあるのだ。そして、まもなく肉眼でも見えるようになるかもしれない。

「C/2025 R3(PanSTARRS)」(パンスターズ彗星)は順調に増光しており、すでに街明かりの影響のない非常に暗い空であれば、ぎりぎり視認可能とされる光度に達している。今後10日間にわたり、さらに明るさを増して観測しやすくなる見込みだ。

ドイツ・ブランデンブルク州レブスで2026年4月11日、早朝の空に輝くパンスターズ彗星「C/2025 R3(PanSTARRS)」(左上)と人工衛星の光跡(Patrick Pleul/picture alliance via Getty Images)
ドイツ・ブランデンブルク州レブスで2026年4月11日、早朝の空に輝くパンスターズ彗星「C/2025 R3(PanSTARRS)」(左上)と人工衛星の光跡(Patrick Pleul/picture alliance via Getty Images)

この彗星は、2025年9月8日にハワイ・マウイ島のハレアカラ山頂に設置されたパンスターズ望遠鏡による観測で発見された。公転周期は約17万年と推定されている。

太陽に最も接近する「近日点」通過は協定世界時(UTC)4月19日(日)の予定で、このとき地球と太陽の距離の半分に相当する約0.5au(天文単位)、すなわち約7500万kmまで太陽に近づく。つまり、先週の近日点通過の際に蒸発して消滅してしまったマップス彗星「C/2026 A1(MAPS)」のように崩壊する恐れは低い。

パンスターズ彗星は4月26日(日)~27日(月)に地球に最接近し、最も明るくなると予想されているが、その頃には北半球では見ることはできなくなる。

北半球から観測するには、4月20日頃まで、日の出の1時間半ほど前から東の低空を観察してみよう。現在、彗星はペガスス座に位置し、「ペガススの大四辺形(秋の四辺形)」の中を通過している。

パンスターズ彗星「C/2025 R3(PanSTARRS)」の位置(国立天文台)
パンスターズ彗星「C/2025 R3(PanSTARRS)」の位置(国立天文台)

観察するのに特別な機材は不要で、明るさの等級も理想的な条件下でなら肉眼でどうにか観測できるレベルに到達してはいるが、夜明けが近づく空を駆ける彗星であることを考えると、双眼鏡があったほうが見つけやすいだろう。倍率は10倍50mm口径(10×50)か、これに近いものがおすすめだ。

撮影に挑戦する場合は、短時間露光にすると、緑色に輝く彗星の核や少しずつ伸びていく尾をうまく捉えられるはずだ。彗星の撮影方法については昨年、「レモン彗星(C/2025 A6)」と「スワン彗星(C/2025 R2)」について紹介した記事で解説しているので参考にしてみてほしい。

月齢が4月10日(金)に下弦の月となり、4月17日(金)に新月を迎えるため、彗星が最も明るく輝く時期の月明かりの条件はとてもよい。ただし、空が晴れていることが前提となる。

パンスターズ彗星、いつ・どこに見える?

北半球から観察するのに最適な時期は、ちょうど始まったところだ。彗星が位置するペガスス座は東の地平線近くにあるため、東側に視界を遮るもののない開けた場所で観測に臨もう。

彗星を探すには、日の出の1時間半前に起きて、東から昇ってくるペガスス座の「大四辺形」を目印にすると見つけやすい。ほぼ同じ明るさの4つの星が少し歪んだひし形に並んでいるのが、それだ。パンスターズ彗星は、ひし形の右上に位置する星「マルカブ」のすぐ左側から、いちばん下に光る星「アルゲニブ」の方へ向かって移動している。

彗星の位置を示した星空マップやファインダーチャートは、The Sky LiveIN-The-Sky.orgで確認できる。

パンスターズ彗星「C/2025 R3(PanSTARRS)」のファインダーチャート(© Dominic Ford, In-The-Sky.org)
パンスターズ彗星「C/2025 R3(PanSTARRS)」のファインダーチャート(© Dominic Ford, In-The-Sky.org)

パンスターズ彗星はどのくらい明るくなる?

彗星の明るさを予測するのは極めて難しいことで知られている。現在の推定では、パンスターズ彗星は2等級まで増光する可能性も指摘されており、もしそうなれば近年でも指折りの明るい彗星となる。ただし、彗星観測データベース「COBS」は最高で3等級程度としている。

また、彗星の核や尾から放出される塵の粒子が太陽光を地球の方向に反射する「前方散乱」と呼ばれる現象が起こり、実際の等級より明るく見える可能性もある。いずれにせよ、双眼鏡を使えば観測しやすい彗星とみられており、だれでも観察に挑戦できる良い機会となる。

マップス彗星の消滅で、かえって期待高まる

パンスターズ彗星への期待が高まっている背景には、4月4日に近日点に到達した際に崩壊してしまったマップス彗星の存在がある。

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マップス彗星は日中でも見えるほど明るくなる可能性が指摘され、注目を集めていたが、あっけなく消滅してしまい、彗星という天体がいかに予測不能かを改めて浮き彫りにした。対照的に、パンスターズ彗星ははるかに安全な軌道にあり、視認性も予測しやすい。とはいえ、予期せぬ増光や減光の可能性は常にあるため、チャンスを逃さないようにしたい。

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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