どの取締役会も「変化」を望んでいると言う。
新しい最高経営責任者(CEO)が就任すると、決まり文句が並ぶ。斬新な発想、新たな活力、戦略面での刷新、次の章に向けたリセット——。投資家は安心し、従業員は勢いを期待するように告げられる。市場に対しては過去との決別が示される。
だが多くの企業の内部では、トップの交代はそのようには機能しないことがほとんどだ。
外からは変革のように見えるものも、内部でははるかに馴染みのものに感じられることが多い。人やプレスリリース、ウェブサイト上の経歴は変わるが、リーダーシップの論理は往々にしてそのままだ。同じ直感が支配し、権威に関する同じ前提が根強く残り、同じタイプの経営者が依然として「信頼できる存在」として感じられる。
トップ交代は、未来に最適なリーダーの選出だけを意味することはまれだ。多くの場合、不確実な局面において最も安心感が得られるリーダーを選ぶことだ。
そして、そこで企業は問題を抱える。
トップ交代がリスク管理になるとき
原則として、CEOの交代は組織が自らを見直す最も明確な機会の1つであるべきだ。取締役会は、会社が次に何を必要としているのかを再評価することができる。
また、会社に必要なのは安定性かそれとも刷新か、業務の厳格化かそれとも実験的な取り組みか、継続性かそれとも真の方向転換か、といった問いを投げかけることもできる。
適切に行われれば、引き継ぎは単なるリーダー交代ではない。サティア・ナデラの下でのマイクロソフトの変化に見られたように、それは戦略的なリセットだ。だが実際には、トップ交代は新たな機会というよりもリスクが発生するものとして扱われることが多い。
取締役会が混乱を最小限にすることを優先し始めると、馴染みのあることが魅力的に映る。問いは静かに変わる。組織を最も適応させられるのは誰かではなく、仕組みをあまり揺るがさずに引き継ぐことができるのは誰か、になる。
こうなると人選ははるかに絞り込まれたものになる。
また、候補者の評価方法も変えてしまう。取締役会は潜在能力よりも予測可能性を発する要素を重視し始める。関係者をすぐさま安心させられる人、投資家が期待する言葉を口にする人、既存の経営者像に沿う人を探す。
トップ交代が期待外れに終わることが多いのはこうした理由からだ。企業は変革を望んでいると言うが、実際にはそれを基準にして選んではいない。基準にしているのは分かりやすさだ。すぐに理解され、受け入れられ、既存のリーダーシップの型に馴染む人を求めている。
言い換えると、なじみ感の残る変化を求めているのだ。



