欧州

2026.04.11 10:00

ロシアの偽情報工作は「戦争状態」に等しい、英議員が防衛費増額を要求

alexlmx/Adobe Stock

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英国の議員らは、同国は偽情報に対して「無防備な状態」にあるとして、公式の「国家偽情報対策センター」の設置を求めている。

英議会の外務委員会は報告書の中で、ロシア、中国、イランといった国々に加え、過激派組織「イスラム国」(IS)やロシアの民間軍事会社ワグネル・グループといった非国家主体による危険性を指摘している。特にロシアは、英国を含む西側諸国の安全保障に対して「明白かつ差し迫った」脅威をもたらす存在と見なされている。

外務委員会のエミリー・ソーンベリー委員長は、「とりわけロシアによるハイブリッド攻撃は、西側諸国に対する事実上の戦争状態に等しい」と指摘した上で、次のように述べた。「東欧諸国での英外務省の活動は目覚ましいが、同省には他の地域で増え続ける要求に応えるための資源が不足していることは極めて遺憾だ。われわれの報告書は、計画されている国防予算の5%増額分から、資金を増額するよう要請している。ロシアが既に西側諸国に対して情報戦を仕掛けているのなら、英国も自衛の準備を整えておかなければならない」

同報告書は、ロシアの支援を受ける偽情報拡散活動「ドッペルゲンガー」に言及している。ドッペルゲンガーはX(旧ツイッター)上で、英国のキャサリン皇太子妃の健康状態に関する投稿に返信したり、ウクライナを中傷する内容を拡散したり、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の選挙での勝利を称賛したりしていた。

報告書はまた、英政府内の偽情報対策の取り組みは現在、断片的で連携が欠如しているため、国家組織の設置が必要だと指摘した。これは、現行の国家サイバーセキュリティーセンターを基に、議会の監督下に置かれる形で法的根拠を明確にして設置することが考えられる。フランス、スウェーデン、ウクライナでは既に同様の組織が設置されている。

同委員会は、ソーシャルメディア(SNS)企業に対し、調査のためにアルゴリズムを一般に公開することや、偽情報に関する年次報告書を作成することを義務付けるべきだとしている。委員会で証言を行った英カーディフ大学のマーティン・イネス教授はこう述べた。「個人的には、プラットフォームが自社のサービス上で公開されるコンテンツに対してどの程度の責任を負うべきかについて、改めて検討する必要があるという主張には一理あると確信している。何しろ、プラットフォームはそうしたコンテンツを通じて莫大な利益を得ているのだから」

報告書は、外国による偽情報や干渉の危険性について国民を啓発するための運動の実施を求めており、その一環として、機密解除された事例の公開や、メディアや市民団体との定期的な会合の開催などを挙げている。

委員会はまた、外務省は海外での偽情報対策を強化すべきであり、英BBCの海外向け短波ラジオ放送「BBCワールドサービス」への長期的な資金提供を増やすべきだと訴えた。その上で、同サービスへの予算削減により、英国がアフリカや中東、南米、インド太平洋といった主要地域での影響力を失う恐れがあると指摘した。

ソーンベリー委員長は次のように説明した。「われわれはBBCワールドサービスについて、非常に懸念している。敵対的な勢力が世界中でうそを拡散している今、対策は強化されるどころか、むしろ縮小されている。偽情報対策がこれほど必要とされたことはかつてなかった。政府が短期的に資金を増額すると発表したことは歓迎するが、同サービスの長期的な資金調達についてはまだ合意に至っておらず、その価値も十分に認識されていない。本報告書では、同サービスの資金調達に充てるため、防衛費の増額分の一部を活用することを推奨している」

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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