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2026.04.13 14:15

世界3位の発明大国は、なぜ知財で稼げないのか──「第6回 知財番付」授賞式に見た突破口

ゴミを炭にして素材をつくる──Gab「.Garbon」

続いて、知財番付の各部門の授賞式に移った。応用性・専門性・創造性・将来性の4部門それぞれで10件の知財が表彰され、各部門のグランプリが発表された。

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応用性部門のグランプリには、廃棄物の炭化による素材化ソリューション「.Garbon(ガーボン)」(株式会社Gab)が選ばれた。分別や再生処理が困難な有機系廃棄物を酸素のない環境で炭化し、人工皮革、左官材、中綿、顔料、活性炭、肥料など多用途の高付加価値素材へと変換する技術だ。

代表取締役CEOの山内萌斗は受賞コメントで、リサイクルが難しい廃棄物が全体の約8割に上る現状を指摘したうえで、意気込みを語った。「世の中のゴミという概念をなくしていくのが理想の未来。どんな企業のどんなゴミの課題に対しても、ソリューションを提案できる会社を目指したい」。

Gab「.Garbon」代表取締役CEO 山内萌斗
Gab「.Garbon」代表取締役CEO 山内萌斗

審査を務めたアビームコンサルティング Directorの下田友嗣は、「廃棄物という負の遺産を新たな価値に変えるというコンセプトは、今後の産業構造や素材開発に示唆を与えるもの。ゴミを見たときに『これは資源の山だ』と思える日が来たのだと感じた」と総評した。

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ヒトの細胞だけで肝臓を再現する──サイフューズ「ヒト3Dミニ肝臓」

専門性部門のグランプリは、「ヒト3Dミニ肝臓」(株式会社サイフューズ)が受賞した。独自のバイオ3Dプリンティング技術で、足場材を使わずヒト肝臓由来の細胞だけで約1ミリの肝臓モデルを製造。マウスや培養した肝細胞を使ったモデルでは数日で肝機能が低下していたが、同製品は1カ月以上にわたり90%以上の生存率を維持でき、長期間の薬物試験に使える。

サイフューズ執行役員 前川敏彦(中央)
サイフューズ執行役員 前川敏彦(中央)

サイフューズ執行役員の前川敏彦は、「病気に苦しむ方に1日も早く有効で安全な薬を届けるために、製薬会社に使ってもらいたいという思いで作ったもの。肝臓に限らず、腸や肺などさまざまな臓器を現在開発中です」と語った。さらに前日の参院予算委員会で高市早苗首相がオルガノイド技術への注力を答弁したことにも触れ、「日本の技術を世界に発信していくことにつなげたい」と意欲を見せた。

審査員のBASSDRUM Tech Directorの鍜治屋敷圭昭は、従来のバイオ技術では実現できなかった安全性や、医療のみならず食品・化粧品分野への応用可能性を評価し、「専門分野の中で骨太で、かつ影響力がきわめて大きな知財」と述べた。

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文=加藤智朗

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