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2026.04.10 17:43

機械に創造性は宿るのか?MIT教授が示す新たな視座

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この2年にわたりLLM(大規模言語モデル)の進化を見守ってきた多くの人は、私たちがいま、まったく新しいモデルへ移行する瀬戸際にいることを感じ取っている。事実の想起では人間を上回り得る従来型のニューラルネットワークから、想像し、変換し、物理世界に生き生きと反応できるモデルへ。二足歩行のヒューマノイドの身体にこれらのシステムを埋め込みたいロボティクス研究者にとっては都合がいい。だが同時に、それは多くのレベルで、世界の仕組みを大規模に組み替えることを求めるだろう。

マーカス・ビューラーは、この領域で非常に興味深い仕事をしている。MITのマカフィー工学教授であり、Unreasonable Labsの共同創業者兼CTOでもあるビューラーは、次世代AIがどのように発展していくのかを見通しやすい独自の立場にいる。彼は最近MITで、機械が創造的な仕事をできるのか、あるいは創造的プロセスに参加できるのかというアイデアをめぐるパネルディスカッションに先立ち、講演を行った。彼の基本理論は、ナノエージェントの群れ(スウォーム)やその他の協調的存在が、人間同士の連携に似た基盤で機能するというものだ。

その先へ

「火から核融合へ」というコンセプトを提示しながら、ビューラーは、私たちが技術の見方をまもなく変えようとしていることを指摘した。

「ハードルは本当に、本当に高い」と彼は述べ、あらためて新しい種類のニューラルネットワークの到来に言及した。私はこの話を以前にも聞いたことがある。少なくとも、ダボスでヤン・ルカンと同じステージに立ち、明日のAIは質問応答マシンに限定されないのだと彼が説明したときに。だから私はこの考え方に備えていた。だが、どれほど備えていようとも、それでもなお、ある種の途方もなさがある。そして私にとっては、いつも哲学に行き着く。説明しよう。

科学は記憶ではない

ビューラーが提示したものの大部分は、人間と人間以外の思考の比較、あるいは一連の比較であり、認知の宇宙における創造性や世界への能動性の感覚を考察するものだった。

彼が示唆するところでは、新しいAIは「単なるオウム返しではなく」、物理世界を探り、新たなアイデアや発見を生み出す、科学的に考え得る協働システムになるという。

ビューラーは「再生の矢(arrow of playback)」「生成の矢(arrow of generation)」「発見の矢(arrow of discovery)」を区別し、METRのチャートなどの資料を用いて、AIがこれらの能力を獲得するために適応している様子を示した。彼の説明によれば、再生(リプレイ)システムは出力が固定された教師ありモデルで、オルゴールのようなAIの初期段階に当たる。生成モデルは、例えば楽譜のように「学習された空間を横断する」。発見とは、エージェントの群れが、固定空間をただ移動するのではなく、「自分自身の楽譜を書く」、あるいは問題を解く段階だ。

創造する人間

創造性についてのビューラーの作業定義は、次のとおりである。

「時間の中で生きられる新規性。自らの生成を完全には事前計算できないシステムによって生み出され、そして、そのシステムは自らが生み出したものによって変化する」

彼は、スウォームはこの条件に適した候補だと主張する。

「相互作用させれば、彼らは本当に面白いことをして、難しい問題を解く」と彼は言う。「重要なのはモデルがどれだけ賢いかではなく、互いにどう相互作用するかだ。これは人間にも当てはまる。重要なのはエージェントではなくスウォームだ」

環境という側面に話を戻し、彼は池と川の写真を用いて2つの重要な道筋を対比させた。池は「既知の真理を釣り上げること」を、川は「実際に新しい世界を創り出すこと」を象徴している。

「私たちはおそらく閾値を越えつつある。もはや巨大な百科事典を作っているだけではない」とビューラーは述べた。

AIの哲学

それを踏まえたうえで、ビューラーは「スパーク(spark)」を、「既知と未発見の境界条件であり、潜在性が現実になる瞬間」と定義した。

「スウォームは世界について何らかの信念を持ち、それが真実ではないと分かり、変化する」と彼は言う。「この問いの最も難しい形は、機械が創造的になれるかどうかではなく、答えがどちらであれ、それを知ることが、私たちが問いを発する前にスパークがどのように感じられていたかを変えてしまうのかどうか、なのかもしれない」

これは深遠な内容であり、ビューラーが機械の認知へ向かう道のりでパスカルやチューリングを引き合いに出すとき、私たちは結局、機械を創造的で想像力に富み、そして多くの点で私たちと同じ存在として見るようになるかもしれない、ということが際立つ。

「今日のAIシステムは、新規性として機能するものを生み出している」と彼は言う。「それらは有用で、驚くほど検証可能だ。しかし、それが創造的なのか、機械の中にスパークがあるのか、それとも機械的な潜在可能性にすぎないのかは、依然として真に未解決のままだ」

彼は人間の意識全体を、次のように説明する。

「痛みは両方向に走る。もしAIが本当に創造できるのなら、私たちが自分たち固有のものだと思っていたものは、固有ではないことになる。だが、もし創造できず、ただのパターン補完にすぎないのなら、私たちがしていることもそうなのかもしれない。私たちは、その下にあるメカニズムを見るための形式的な道具を持っていなかっただけなのだ」

あるいは、人間は機械にはない仕方で本当に感覚を持つ存在なのかもしれない。

いずれにせよ、これは非常に興味深い講演だった。これほどの感覚的な力を備えたAIエンティティと、どのように相互作用していくべきかを解き明かしていこう。

forbes.com 原文

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