ルグランの気象データシステムが━━
「気象データ」を使った広告配信の仕組みを今回の活動に提供する「ルグラン」共同創業者の泉浩人氏は、三井銀行、フォード自動車等を経て、検索連動型広告で一世を風靡した「オーバーチュア(現ヤフー)」を日本で立ち上げた経験の持ち主。スポンサードサーチやグーグルアドワーズ(現グーグル広告)、YouTubeやソーシャル広告の戦略立案にも関わってきたデジタルマーケティング戦略のプロだ。同社は2022年、独自に開発した天気連動型広告配信システム weathermarketing.net (R)で特許を取得。広告文脈に「気象」という自然界のデータを取り入れた先駆的な発想と実装で話題を呼んだ。
泉氏は「今や『広告はお金を払わない人へのペナルティ』とすら思われがちな時代です。ネットユーザーなら誰しも、広告を消すあの『バッテン』印を視認するのがどんどん速くなっているはず。こうした状況を変え、人々の役に立つ広告の配信を実現したいという思いで開発したのが天気に連動した広告配信システムである」と話す。
実はポストクッキー時代、ビッグテック各社でも明暗があることをご存じだろうか。たとえば巨大リテールメディア、アマゾンは自社データ活用によって4年間で広告事業の売上げを30億から70億ドルにしたが、グーグルのディスプレイ広告は売上を落としている。これには、クッキーデータを使用したターゲティングの精度が低いこと、そのために広告主が離れていることも影響しているといわれている。
リテールメディアは、その名の通り、自社が保有する大量の販売データ(ファーストパーティデータ)を使って、アマゾンやウォルマートなどの小売業者が展開する広告配信サービスだが、近年は、JR東日本が保有する鉄道データを使った「JRE Ads」やANAの航空券予約や搭乗者データなどを使った「ANA Moment Ads」など、生活者と幅広い接点を持つ交通事業者なども、自社で保有するデータを使って広告配信サービスを展開する動きが活発化しているという。泉氏はこの動きを「リテールメディア2.0」と名付け、今後も、許諾を得て取得した自社データ(ファーストパーティデータ)を活用できる事業者による広告配信サービスが増えていくことは間違いない、と言い切る。
さて、「Railcast Ads」はポストクッキー時代の広告成功例として「リテールメディア2.0」のたいまつを掲げるか。デジタル広告の未来形を示そうとする取り組みとして注目に値する動きではある。


