北米

2026.04.12 16:00

ホルムズ海峡の封鎖で「石炭」特需──液化天然ガスの途絶で潤う米最大手ピーボディ

2026年2月11日、ワシントンD.C.のホワイトハウスで開催された石炭利用に関するイベントで、ドナルド・トランプ米大統領にトロフィーを贈呈したピーボディ・エナジーの会長兼CEOジム・グレッチ(写真左)Photo by Anna Moneymaker/Getty Images

売上高は約7314億円超に達する見通し、株価はグレッチ就任後に約400%上昇

ミズーリ州セントルイスに本拠を置くピーボディの2025年の売上高は38億ドル(約6042億円)、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は4億5500万ドル(約723億円)だった。ダラスのテキサス・キャピタルのアナリスト、マシュー・キーは、同社の今年の売上高が46億ドル(約7314億円)を上回り、EBITDAも8億7000万ドル(約1383億円)に跳ね上がる可能性があるとみている。また、1株利益は、前年の46セント(約73円)の赤字から2.39ドル(約380円)の黒字に達すると予想されている。ピーボディの株価は、4月3日時点で35.70ドル(約5680円)付近で推移しており、予想PERは約15倍となっていた。

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しかし、同社株に新たに投資する人は、すでに大きな上昇局面を逃している。ピーボディ株は、ここ1年で約130%上昇したからだ(編注:4月10日時点で過去1年の上昇幅は約126%に縮小)。また、グレッチがCEOに就任した2021年6月以降では、約400%高となっている。

グレッチはそれ以前、ユタ州の石炭会社Wolverine FuelsでCEOを務め、Nexus Gas Transmissionでは社長を務めていた。彼が加わった当時のピーボディは、巨大企業ではあるものの、10年間におよぶ再生可能エネルギーとシェールガスとの競争に疲弊し、巨額の負債にも苦しんでいた(負債はその後返済された)。

ピーボディは、2017年に連邦破産法11条の適用申請後のプロセスを終えて、再建に踏み出したものの、その後、新型コロナウイルス禍に見舞われ、需要が急減した結果、株価は2020年後半にかけて再び過去最低水準まで落ち込んだ。

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グレッチはCEOに就任後、利益率の高いオーストラリアの製鉄用石炭事業の拡大に力を入れてきた。彼は2024年、アングロ・アメリカンから石炭鉱山を38億ドル(約6042億円)で買収しようとしたが、同社の鉱山の1つで火災が起きたことで、この取引は破談になった。

悪評が絶えない石炭だが、需要が消えたわけではない。実際、国際エネルギー機関(IEA)によると、世界の石炭消費量は昨年、過去最高の90億トンに達した。ピーボディも米証券取引委員会(SEC)への提出書類で、石炭が地球温暖化の最大の原因であることを認めているが、それでも石炭の使用は増え続けている。

その中心にいるのが中国だ。代替エネルギーの生産拡大を進める中国は、世界全体の石炭消費の半分以上を占めている。一方、米国の石炭燃焼量は現在、年間5億トンと10年前の半分の水準まで減少した。ただし、昨年はトランプ政権の政策を追い風に13%増加した。

シェールガス革命を受け、米国における石炭の電力シェアは現在16%にとどまる

米国で石炭の地位が低下した最大の要因は、シェールガス革命だ。15年前には米国の電力の47%を石炭が担っていたが、現在は16%にまで低下し、風力と太陽光をわずかに上回る程度にとどまっている。

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翻訳=上田裕資

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