企業におけるAIの成熟度は、個人やチームがいくつかの業務を助けるためにChatGPTを使う散発的な導入段階から、全社でAIを管理し、継続的に最適化する段階まで幅がある。重要な業務フローの管理をAIにかなり自律的に任せるという、最も成熟した段階にある企業は13%にすぎない。
報告書によれば、本当の「複利的な優位」が生まれるのはその段階である。ただし同時に、人間の権限、チェック機能、フィードバックループを組み込むことが最も重要になるのもその段階である。
そこを正しく設計してはじめて、顧客面で大きな業績向上が実現する。AI成熟度が高い企業では、88%が顧客体験で2桁の改善を実現し、41%が2桁の増収を報告し、4分の1の企業が実行速度や、着想から導入までの期間の大幅な短縮を報告している。
だが、大半の企業はそうした恩恵を得られていない。その理由は、本来責任を負うべき人間によるAIリーダーシップの欠如にあると報告書は指摘する。
「企業は説明責任の整備よりも速いペースでAIを拡大しており、その差は今や労働力の危機になっています」と、調査を実施したHFS Researchのチーフアナリスト、フィル・ファーシュトは述べた。「リーダーが、何をAIが決め、何を人間が担うのかを定義しなければ、従業員はそれに疑問を持たなくなります。それは能力拡張ではなく、責任放棄です。今すぐ正さなければ、知的な組織を築いていることにはなりません。拡大しているのは、管理されていないリスクです」。
皮肉なことに、AIをよりうまく使うための解決策は、人間のマネジメントをより良くすることである。
これは明るい材料でもある。将来のAI主導型企業でも、人間には重要な役割が残されているからだ。ただし注意点もある。AIが自分の仕事を奪うのではないかと恐れている人々は、AIをどこに使えば企業に最も大きな優位をもたらせるかを見極めるうえで、おそらく最適な担い手ではない。
その不安を和らげることが、企業をAI時代に向けて変えていくうえで、リーダーがまず踏み出すべき一歩なのだろう。


