宇宙

2026.04.10 11:30

アルテミス2 オリオン地球帰還までのタイムラインと、耐熱シールドに残された不安

(c)NASA

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54年ぶりに人類を月近傍に送り込んだオリオン宇宙船は、日本時間4月7日に月の裏側を周回することに成功した。その際、人類が初めて肉眼で見るその地表を観測し、そのまま地球への帰路についた。

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オリオン宇宙船、月裏側の「肉眼観測」に成功 人類到達の最遠記録を40万6773kmに更新

クルー4名を乗せたカプセルは、日本時間4月11日午前9時7分、米西海岸へ着水する予定だ。NASAによると地球帰還までのタイムラインは以下のようになる。

地球帰還のタイムライン

4月11日(土曜) ※時間はすべて日本時間の午前

04時07分
地球への大気圏再突入に備え、メインエンジンによる最後の軌道修正噴射を実施。

06時00分
クルーがオレンジ色の船内宇宙服を着用。チェックリスト作業を開始。

08時25分
オリオン宇宙船のカプセル(搭乗員モジュール)がサービスモジュール(機械船)から分離される

08時37分
大気圏再突入に備えて機体姿勢や速度を微調整するため、スラスタ(姿勢制御装置)を短く噴射

08時53分
大気圏再突入を開始

08時54分
再突入時、カプセルが超高温のプラズマに包まれることにより通信が途絶(ブラックアウト)

09時00分
通信復帰

09時03分
ドローグ・パラシュートを展開

09時04分
メイン・パラシュートを展開

09時7分
米西海岸サンディエゴ沖約80kmのポイントに着水(スプラッシュダウン)

秒速11kmで大気圏へ

2022年のアルテミス1で着水したオリオン宇宙船のカプセル (c)NASA
2022年のアルテミス1で着水したオリオン宇宙船のカプセル (c)NASA

ISS(国際宇宙ステーション)からクルードラゴンが帰還する際には、地球を周回する高度400kmの低軌道から大気圏に再突入するが、そのときドラゴンの機速は秒速7.8kmに達し、機体が受ける熱は約1850度まで上昇する。これに対し、月から帰還するオリオンの場合は、大気圏突入時の機速は秒速11km、機体の表面温度は約2760度まで上昇する。つまり低軌道からの帰還に比べ、月からの帰還は速度が1.4倍、温度は1.5倍となる。

地球からの脱出速度(秒速11.2km)に近いこの速度では、地球近傍に戻ったオリオンは、その重力を振り切って通りすぎてしまう。また、そのまま大気圏に突入すれば濃密な大気によって機体やクルーへの負荷が高まる。エンジンを噴射して減速することも考えられるが、オリオンにはそれだけの燃料を搭載できない。そのためNASAは、オリオン宇宙船のカプセルをより安全に帰還させるために、当初はスキップエントリーと呼ばれる再突入方式の採用を検討していた。

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編集=安井克至

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