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2026.04.10 12:00

イランのホルムズ海峡通行料、ステーブルコインを規制する米GENIUS法の死角を突く

Adobe Stock

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世界の石油・液化天然ガス取引の約2割が通過するホルムズ海峡で、イランが通行料の徴収を始めた。支払い手段は中国人民元、ドル連動型ステーブルコイン、そしてビットコインだ。後者2つは国際的な銀行間決済網SWIFTを迂回できる。

イランは国際制裁によってSWIFTから切り離されており、実際の米ドルを受け取ることができない。しかしUSDTやUSDCといったステーブルコインは、銀行を介さずにドルと同等の価値を受け渡せる。制裁の効力が及ぶ銀行チャネルの外側で、ドル建て取引が成立してしまう構造だ。

また米国では2025年7月、ステーブルコインを初めて包括的に規制する「GENIUS法」がすでに成立している。同法はステーブルコイン発行体に対し、制裁対象ウォレットの遮断・凍結・拒否に向けた体制整備を義務付け、ドルのデジタル覇権を強化することを目的としている。だがイランはさらにその外側にあるビットコインを決済手段に加えることで、法の射程外に完全に逃れた。

ドルを強化するために設計されたデジタル資産が、ドルの制度的権力を空洞化させるために使われている。GENIUS法が直面した最初の試練は、米国の法廷でも議会でもなく、イランが管理するホルムズ海峡で始まった。

米GENIUS法の規則案が公表された同日、イランがホルムズ海峡でビットコイン払いを要求

米国時間4月8日、米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)と外国資産管理局(OFAC)は、ステーブルコイン発行体に対するGENIUS法のマネーロンダリング対策および制裁措置遵守要件を実装する規則案を共同で公表した

スコット・ベッセント財務長官は、この規則策定を「国家安全保障上の脅威から米国の金融システムを守る」ために不可欠であると位置づける一方で、「デジタル金融技術における米国のリーダーシップを強化する」ものだと説明した

同日、フィナンシャル・タイムズは、イランがホルムズ海峡の通航を求める石油タンカーにビットコインでの支払いを要求していると報じた。これは偶然の一致ではなく、設計同士の衝突である。そして、いかなる規則策定も単独では解決できない、米国のステーブルコイン戦略の中核にある緊張関係を露呈させる。

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