一方、1970年4月の「アポロ13号」ミッションでは、強襲揚陸艦「USSイオー・ジマ(LPH-2)」が主要な回収艦を務めた。このミッションは、酸素タンクの爆発により乗組員が月面着陸を断念し、月を周回するにとどまったことから「成功した失敗」と評されている。
イオー・ジマはヘリ空母として設計・建造された米海軍初の強襲揚陸艦級の1番艦であり、NASAにとっても米海軍にとっても、大型空母を運用するより費用対効果が高いとみなされていた。それでも、1972年12月に打ち上げられたアポロ計画11回目にして最後の有人月ミッションとなった「アポロ17号」では、エセックス級空母「USSタイコンデロガ(CVS-14)」が回収艦を務めた。

なお、1975年7月の「アポロ・ソユーズ実験計画」で使用された最後のアポロ指令船の回収は、イオー・ジマ級強襲揚陸艦の「USSニューオーリンズ(LPH-11)」が担った。
海上への帰還、再び
アポロ計画から約50年の歳月が流れ、その間、米海軍は宇宙カプセルの回収任務には関与してこなかった。というのも、アポロ計画の終了から2020年代にかけて、NASAは滑走路に着陸するスペースシャトルか、陸地に帰還するロシアのソユーズ宇宙船のカプセルを使用していたためだ。
米海軍とNASAがオリオン宇宙船の開発に伴って新たな回収手順の策定を始めたのは、わずか10年余り前のことである。2022年12月11日、月周回を成功させた無人ミッション「アルテミスI」で、サン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦「USSポートランド(LPD-27)」が太平洋上でのカプセル回収任務に投入された。
そして来る11日、ジョン・P・マーサは米海軍艦艇による宇宙カプセル回収の新たな歴史を刻むこととなる。


