アドビは4月10日の「フォントの日」に合わせ、新作となるオリジナル日本語フォントを発表した。SNSや動画サムネイル、リリックビデオ、ゲームのパッケージといったシーンでの使用を想定しており、正式リリースは夏以降を予定している。今回はタイプフェイスデザイナーの吉田大成氏と、Adobe Type CJKタイプチームマネージャーの大日方玲子氏に、新フォント開発の背景や活用法、開発を支える長年の技術と歴史について話を聞いた。
オンスクリーンディスプレイでの需要が急増
新フォント「ネオクロ」は、極太書体でありながら横線や縦線の断面はふんわりと丸みを帯びており、力強い印象ではなく「ぷっくり」「ぽってり」とした柔らかく愛らしい要素を持っている点が特徴的だ。
また、極太でありながら字幅が変化する「バリアブルフォント」であるという点も大きな特徴のひとつ。縦方向にも横方向にも字幅を変化させることが可能であり、最大で正方形の半分のサイズ(半角サイズ)にまで文字を圧縮できる。漢字の字幅は正方形のまま固定され、仮名と欧文のみが圧縮・変化するという独自の仕様を採用し、正方形の重厚な「漢字」の間に、細く圧縮された「仮名」が入り込む形となることで、同じ文章の中に縦長・横長の文字と正方形の文字が混在し、これまでにない独特のリズム感と視覚的インパクトを生み出している。
文字の段差を利用した遊び心のあるレイアウトを実現するため、圧縮された仮名の「高さ(上下の配置)」を調整できる専用のバリアブル軸も搭載されている。これにより、CSS(Cascading Style Sheet)などでアニメーションを設定すれば、仮名が上下に波打つような動的な表現も可能となる。
「ネオクロ」を手掛けた吉田氏は2018年にアドビに入社し、「源ノ角ゴシック」や「百千鳥」の開発にも携わった。今回が初の単独リリース書体となる。
開発の背景には、近年SNSや動画サムネイル、リリックビデオ、ゲームのパッケージなど、「オンスクリーンディスプレイにおける極太書体の需要」が急増していることが影響しているという。吉田氏は「他社からも魅力的な極太書体が多数リリースされる中、アドビオリジナルの日本語書体として最も太くインパクトのあるフォントを目指して制作した。バリアブルフォントであることで、アニメやゲームのキャラクター紹介で挿絵を避けて文字を配置したり、食品パッケージの隙間に文字を詰め込んだりといった使い方も可能だ」と話した。



