ニッケル──防衛とエネルギー移行の交差点
ニッケルは、リチウムイオン電池における役割から電気自動車と同義になりつつある。だが、防衛製造にとっての重要性は見落とされがちだ。
高強度のニッケル合金は、ジェットエンジンのタービン、艦艇、装甲車両、高温環境で作動するミサイル・システムに用いられる。高温と応力に強いことから、航空機にも兵器プラットフォームにも有用である。
同時に、ニッケル需要は世界的なエネルギー移行によって押し上げられている。電気自動車、蓄電システム、ステンレス鋼生産はいずれも主要な消費先だ。つまり防衛製造は、過去10年で最も強力な産業メガトレンドの1つと、今や直接競合していることになる。
これらの需要要因が収れんすると、ニッケル市場は想定より早く逼迫し得る。
実際、防衛需要は、すでに強いEV需要とステンレス鋼需要に上乗せの圧力を加える。ただし投資家は、ニッケル市場が電池化学の変化や代替によるリスクに依然さらされていることも忘れるべきではない。
レアアース(希土類元素)──電子機器と誘導システム
現代の軍事システムはレアアース(希土類元素)に大きく依存している。レーダー・システム、精密誘導兵器、先進的な通信機器、そしてドローンやミサイル誘導システムに用いられる電動モーターに不可欠である。
レアアース磁石、とりわけネオジムやジスプロシウムを用いたものは、電気自動車、風力タービン、ロボティクス、民生用電子機器といった民間技術にとっても基盤である。
しかしサプライチェーンは、依然として高度に集中している。
中国は現在、レアアース採掘の約70%と、精錬・加工能力のおよそ90%を掌握しており、市場に対して大きな影響力を持つ。この集中は、防衛とクリーンエネルギーの双方にとって中核的な産業に、地政学リスクを付加する。
実際、レアアース市場は需要だけでなく、地政学と精錬能力によっても左右される。つまり供給途絶は、防衛と電化の両産業にまたがって急激な価格高騰を引き起こし得る。


